平壌にドイツ科学技術図書普及室、ビデオ、CDも自由に利用 |
【平壌発=李相英記者】01年、朝鮮とEU(ヨーロッパ連合)間の関係正常化以後、双方は多岐にわたって協力事業を推進してきた。政治、経済分野での政府間協力事業とともに、最近では科学技術や教育文化での民間交流も活発だ。EU諸国との民間交流の発展を背景に最近、平壌市内にドイツの科学技術専門書籍を自由に閲覧できる施設がオープンし、市民の人気を博している。 4000冊の書籍と新聞
朝鮮−ドイツ親善協会とドイツゲーテ研究所は6月2日、共同で平壌市の千里馬文化会館の3階にドイツ科学技術図書普及室を開館した。ここにはドイツの自然科学、社会科学に関する約4000冊の本と主要新聞、雑誌、そして同国の映画や音楽を収めたビデオやCD、カセットなどが備えられている。 朝鮮で西側諸国の書籍を専門に扱い、自由に閲覧できる施設ができたのは初めて。 普及室設置の目的は、ドイツの科学技術書籍と、この分野で西側諸国が収めた成果を紹介し、両国の関係発展のための相互理解を深めることだ。 普及室では、大学の図書館や研究機関に書籍を広めるとともに、一般市民への貸し出しも行っている。市民が求める書籍は、ゲーテ研究所が無償で提供する。
同研究所は50年代に発足した民間文化交流団体で、ドイツ文化を世界的規模で広めながら、他国の文化をドイツ国内で紹介している。このような活動拠点として国内外に60余の図書館を有している。 普及室には医学、情報工学、地質学、物理学を中心に、建築、化学、生物学などさまざまな書籍がそろっており、おもに大学生や研究者たちが利用している。 普及室の責任者である対外文化連絡協会のキム・ムンイクさん(57)は、「国の科学技術を発展させるためには、外国の研究成果も積極的に取り入れなければ。EU諸国の中でも科学技術水準の高いドイツの専門書を広めることは、生徒や専門家の研究に役立つだろう」と語った。 「閉ざされた国」ではない キムさんは一方で、普及室の運営は書籍の閲覧と普及だけでなく、EU諸国との関係発展と交流協力事業に対する朝鮮の積極的な姿勢を物語る一つの象徴だと強調した。 「朝鮮は決して米国や一部の西側諸国が言うような『閉ざされた国』ではない。普及室の存在がそれを証明している。私たちは、有益なものであれば資本主義のものでも積極的に受け入れてきたし、現在もそうしている。EU諸国と外交関係を結び、交流協力事業も多方面で進めている。門を閉ざしているのは、私たちではなく米国だ」 朝鮮−ドイツ親善協会のオ・ジンミョン書記長によると、01年3月に外交関係を締結した朝鮮とドイツは現在、医学、教育文化、保健分野での民間交流が活発だという。政府レベルでも、ドイツ政府からの冷凍牛肉の提供や、ドイツ議会議員の平壌訪問など関係が活性化しつつある。 ゲーテ研究所では、9月に再度訪朝し、400冊の書籍を提供する予定で、普及室の職員を対象にした司書講習も行う。 「これから書籍の数をどんどん増やし、国の科学技術の発展に貢献すると共に朝鮮とドイツの親善関係を発展させるのに役立つ施設にしたい」とオ書記長は語った。 [朝鮮新報 2004.8.21] |