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来年、ソウルに朝鮮在来種だけの生態園をオープン

大きく育った「統一ホランイ」

 02年6月28日−。歴史的なホランイ(トラ)は、「02ワールドカップサッカー」の最中にソウル大公園で産声をあげた。99年の「動物交換」で共和国が贈ったオスの「ライル」と、ソウルオリンピックのマスコットだった「ホドリ」(オス・93年死亡)の娘、「ホンア」との間に「統一害古(ナムメ・兄妹)」が産まれたのだ! 公募によってつけられた名前は、統一コリアを意味する「コアとリア」。彼らは元気に育っているのだろうか? 僕は「コアとリア」に会うために、先月、ソウル大公園を訪れた。

 ソウル大公園は、ソウル郊外の果川(クァチョン)にある。その広大な敷地のど真ん中に動物園があり、現在、10数頭の拷砧至硲櫛戚(ペクトゥサンホランイ・南の人たちはチョウセントラをこう呼んでいる)が飼育されている。小雨の中、猛獣舎にたどり着くと、トラの展示施設はふたつもあった。最初に見た展示施設では、5頭の若トラたちがたのしそうにじゃれ合っていた。「コアとリア」はきっとこの中にいる。僕は確証を得たくて飼育員を探したが、見つからなかった。そこで通りかかった職員を呼びとめてたずねてみた。

 「はい。この中に統一ホランイがいます。でも、どれがコアかリアか、私では特定できません。そうそう、あちらに展示されているトラは、北からきたランリムです」

100日チャンチのときの「コア」と「リア」

 もうひとつの展示施設では、ひときわ大きなトラが鋭い眼光をこちらに向けて寝そべっていた。南朝鮮のトラのほとんどは日帝時代にアメリカに輸出された子孫を「逆輸入」したものだが、この「ランリム」は違う。彼女は93年4月に慈江道狼林郡(チャガンドランリムグン)で生け捕り(当時1歳)にされた、正真正銘の野生のチョウセントラなのだ。「ランリム」は現在12歳。動物園のトラの寿命は20年ほどで、赤ちゃんを産むにはもうギリギリの歳。しかし「元野生」の荒々しい性質がアダになっているのか、「ランリム」は未だに妊娠に至っていない。

 ともあれ、「コアとリア」がすくすくと育っていることが嬉しくて、夢中でカメラのシャッターを押した。

 いつしか雨はあがり、さわやかな風が吹いてきた。帰り際、僕を見つけた先の職員がにこやかにいった。

 「来年の秋、この辺りに朝鮮半島在来種だけを集めた生態園をオープンさせます。足りないものは、北が贈ってくれるんですよ」

 ソウルで、「統一」がすくすくと育っていることを実感した取材だった。(動物童話作家、キム・ファン)

[朝鮮新報 2004.8.27]