高麗人参余話(31)−日覆い |
昔はワラで人蔘畑の屋根がけを行ったが会津地方ではほとんどが黒い布(寒冷紗)でできた日覆いを使っている。 太陽の光にどのように当たるのかは人蔘栽培で決定的な要因のひとつとなる。 人蔘は一般路地作物とはちがい低い光度の光だけを必要とする半蔭地性植物なので日覆いをかけた構造物の中で栽培する。日覆いは人蔘栽培の歴史とともに進歩してきたが、なるべく直射日光に当たらないように北側を高く、南側を低くした半屋根型で単傾斜の日覆構造をもった小屋を作る必要がある。強い日光の照射が長時間にわたると葉が焼けて赤くなったり、黄緑色となり落葉を早め、人蔘の生育を著しく阻害する。反面、低い光度では光合成量が少なく全体の生育に支障がでる。 夏の昼過ぎに寒冷紗の中の人蔘畑に入ってみたが、中は明るく、赤い実をつけた人蔘の葉が太陽の光を受けて、透けた竹草色に美しく輝いていた。 人蔘畑は正午の強い日差しや、午後2時から3時の強い日当りを防ぎ、東と北の間方向から吹く気持ちのよい風に当たれるようにする一方で、東からの朝日を受けるためにその方向だけ開けてある。東北間方向は東からの太陽を迎え涼しい東北風を受ける場所であり畦の表面温度の上昇も防ぐ。(山蔘は山で東と北に挟まれた東北間方向に自生する率が高くおおよそ75%に及ぶ。) 人蔘畑はどこもみな同じ方向に畦をつくっているが、朝日や夕日の直射日光が長くなるのを避けるためである。一年中で最も北から日が出て北に日の暮れる夏至、すなわち6月20日前後の入日の方向に畦の向きを一致させている。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師) [朝鮮新報 2004.2.20] |