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高麗人参余話(32)−土と水

 人蔘は根のかたちを生命とする作物である。根のかたちを左右するものは土壌の理学的性質と雨、すなわち水分との関係である。人蔘づくりは土づくりから始まると言える。さらに人蔘づくりは土と水とを調和させる事だとも言える。

 ウリナラ人蔘産地の年間平均降水量は1200〜1300ミリメートル(開城1289ミリメートル、錦山1205ミリメートル)である。一方、日本では地域間に格差が見られる(長野県998ミリメートル、北緯36度19分、福島県1260ミリメートル、北緯37度28分、島根県大根島2033ミリメートル、北緯35度29分)。

 人蔘栽培に適した土壌は、保水力に優れ干ばつ時にも水分の供給が維持される一方、排水が良好で梅雨にあっても過湿にならず通気のよい場所が望まれる。適当な土壌水分は50〜60%であるとされる。

 ウリナラや日本では排水のよい山間傾斜地、あるいは排水に便利な緩やかな傾斜地ないしは、平坦地の熟畑が栽培地に選ばれた。最適な地勢としては北向きあるいは北東向きに傾斜して、15度以内の緩やかな傾斜地で前面が広く開けた場所で排水のよい平坦地であるのが好ましい。

 人蔘は山林中の落葉の積もった腐食土壌に自生する植物であり酸性土壌でよく育つ。人蔘は酸性よりもアルカリ性に弱い作物である。

 ウリナラの優秀な人蔘圃地の土壌酸度は平均ph(ピーエッチ・水素イオン濃度)5.5の微酸性を示す。いずれにしてもph4.5〜5.8の範囲で充分生育する。

 化学肥料を施用したり、多肥栽培した場所では、人蔘が枯れたり腐ったりするので無肥料で栽培したり、肥料分を充分吸収させた後に土の手入れを行って作付けするのが一般的だ。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師)

[朝鮮新報 2004.2.27]