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〈みんなの健康Q&A〉 あかちゃんの発熱−こどもの病気

 Q:あかちゃんの様子がいつもと違います。額をさわるととても熱いのですが、どうすればよいのでしょうか?

 A一番心配なのは、ただの風邪なのか、それとももっと重い病気なのか、ということです。あかちゃんはお母さんから免疫をうけついで生まれてきます。この免疫のため、生後半年くらいまであかちゃんはあまり風邪をひきません。逆に生後半年までにあかちゃんが熱を出した場合、(もちろん一番多いのは風邪ですが、)より重い感染症も頭におく必要があります。しかも、もしこういった重い感染症であった場合、非常に進行が早いのです。ですから、生後半年までのあかちゃんが熱を出したら、あまり家で様子を見ず、早めに病院を受診したほうが良いでしょう。

 Q:生後半年以降の場合はどうなのでしょうか?

 A:生後半年を過ぎると、多くのあかちゃんが熱を出すようになります。この時期に多い病気に突発性発疹があります。これは普通の風邪と同じようにウイルスによる病気です。比較的高い熱が数日続きますが、その割にあかちゃんの機嫌や食欲はあまり落ち込まないのが普通です。そして熱が下がると全身に赤い発疹(淡いことが多い)が出て終わります。もちろんこの時期は普通の風邪も多くなります。いずれにしてもこういった病気は急を要するものではないので、生後半年すぎの場合、夜中に熱が出ても機嫌がまずまずでミルクも飲めているようであれば、翌朝まで様子を見ても大丈夫でしょう。しかし、非常にぐったりしている、ミルクの飲みが非常に悪い、といった場合は別です。

 Q病院に行く際、気をつける点はありますか?

 A:親御さんへのお願いを一言。あかちゃんはもちろん自分で話せません。小児科医はプロですから、話を聞けない代わりにあかちゃんの体からいろいろなことを読み取りますがどうしても限界があります。ですから親御さんに、あかちゃんに代わって話していただかないといけません。まず、普段あかちゃんのお世話をしている人があかちゃんを連れてきてください。普段世話をしていないお父さんが、その穴埋めのため(?)にあかちゃんを病院に連れてきて、家での様子を聞いても何も答えられずこちらが困ってしまうことがあります。

 そして親御さんに話していただくことは、これまで書いたようなこと、つまり、あかちゃんの活気、ミルクの飲み、などが一番大切です。また、咳や鼻水、下痢や嘔吐といった風邪や胃腸炎の症状があるかどうか、また水分がとれなくて脱水症状になってないかどうかを知るために、おしっこの量が普段と違うか聞くこともあります。こういったことに注意しながら家で観察してみてください。

 小児科医はこういった親御さんのお話や診察した結果から診断をしていくのですが、これが完璧ではありません。重い感染症でも初期は普通の風邪となかなか見分けがつかないのです。どうしても経過で判断するしかない部分もあるので、病院で風邪と言われても、家に帰ってあかちゃんの状態が急に悪くなってきたら再度受診してください。

 以上、あかちゃんの発熱時の注意点を書いてみましたが、そうは言っても夜中にあかちゃんが熱を出したらやはりいてもたってもいられなくなるかもしれません。世間で多い誤解の一つに、「少子化の時代だから小児科医も仕事が減ってくるだろう」というのがありますが、事実はまったく逆で、その原因のひとつは医学生が同じような誤解をして小児科志望者が減っていること、そしてもうひとつは、やはり親御さんが以前より細やかな医療を求めているからだと思います。ですから、やはりどうしても心配な場合はどうぞ近くの小児科を受診してください。(金基成、神奈川県立こども医療センター循環器科、横浜市南区六ッ川2−138−4 TEL 045・711・2351)

[朝鮮新報 2004.3.12]