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「非戦の国が崩れゆく」

新著を刊行した高文研代表 梅田正己さん

 勤めていた大手出版社から独立して「高文研」を立ち上げて32年。

 編集者の傍ら、教科書・日の丸、靖国問題を追及した「この国のゆくえ」(岩波ジュニア新書)など多くの著書も持つ。

 「まもなく敗戦60年。90年代末になって日本の平和主義が音を立てて崩れていっている状況」に強い危機感を抱いて書き上げたのが、新刊の「『非戦の国』が崩れゆく」(高文研 TEL 03・3295・3415)である。

 「『9.11』以降、安保をめぐる事態は恐ろしい勢いで進展し、『この国のかたち』は一変した。この2年半の変化は、それ以前の30年、40年の変化に匹敵するといっても過言ではない」

 アフガン参戦、有事法制・イラク派兵…。「憲法改正」をめざして大転回をとげつつあるこの国の景色。すんなりと無傷のまま成立してしまった「自衛隊法改正案」の危険性をあぶりだすことに梅田さんは心血を注ぐ。

 「非戦から参戦へ」。人々の目を真実から遠ざけるために執拗に続けられたのが拉致問題と核、ミサイルなどの「熱病的な北朝鮮報道」だったと指摘する。

 「テレビのワイドショーと雑誌の扇情的な北叩き。それが米国の作り出した『ならず者国家』のイメージを増幅させ、朝鮮への憎悪と偏見を撒き散らすことになった」

 ゆがんだ報道によって、奪われたまっとうな「疑問や問い、そして冷静な思考」。平和への戦略や構想力を練りだすためにもぜひ、若い人たちに読んでほしい本である。

[朝鮮新報 2004.3.30]