金剛山歌劇団民族器楽演奏会開く |
朝鮮の民族楽器の演奏を直接、聞きたいという同胞たちの要望に応え5日、東京・青山の草月ホールで金剛山歌劇団民族オーケストラによる「民族器楽演奏会」が開かれた。会場には音楽愛好家をはじめ同胞、日本市民ら約500人が駆けつけ、心地よい民族音楽の音色に聞き入っていた。 初公開の玉流琴
民族器楽合奏「春が来た」でスタートした公演では、「春」をテーマに1960年代の朝鮮の名曲を含む約10曲が披露された。 「春の訪れ」(尹慧瓊、ソヘグム独奏)、「西道アリラン」(李淑任、高音チョッテ独奏)、「九龍の滝」(姜年浩、チョッテ独奏)などの独奏作品のほか、豊作を祈り働く農村の娘たちの上空を飛び回るひばりの姿を表現したソヘグム4重奏「ひばり」、稲穂波打つ黄金の野辺で秋空高く響きわたる農民たちの歌声を楽天的に表現した管楽器重奏「黄金の田野」も披露された。鳥の鳴き声を表すパッセージ、力強いリード楽器と澄み渡る竹管楽器の独特な響きは観客たちを魅了した。
なかでも客席の注目を一身に浴びたのは、玉流琴の独奏「故郷の春」(金知希)。70年代にハープと伽倻琴の要素を取り入れ朝鮮で改良され、日本では初公開だ。「しずくがしたたるような澄んだ音色」が楽器名の由来。西洋楽器の特徴である半音階の表現と民族楽器特有の弄音(民族的なビブラート)の表現の両方が可能。 公演最後の曲となったチャンセナプ協奏曲「春」は、チャンセナプ奏者、崔栄徳さんのために南の作曲家、キム・デソン氏が作ったオリジナル曲。6.15北南共同宣言が発表された2000年12月、金剛山歌劇団のソウル公演が実現した。崔さんはその後、南の国立国楽管弦楽団から招待を受け国立劇場で開かれた音楽会に出演した。分断された民族の再会と、希望、離散の苦しみと怒り、望郷の想いが曲に込められている。 この日舞台に上がった奏者たちは在日2〜4世たち。民族教育の場で民族楽器に触れ、その才能を伸ばしてきた者たちばかりである。 年に2回は聴きたい 任Q娥さん(22、音大生)は、「ただただ感動した。朝鮮のすばらしい民族器楽の音色をもっとたくさんの人たちに知ってもらいたい。金剛山歌劇団の活躍に期待する」と感想を述べた。鄭朋子さん(20)は、学生時代に民族器楽部に所属していたという。「めったに聴けない民族楽器の演奏会なので大変楽しみにしていた。特に気に入ったのはソヘグム4重奏。知っている曲がアレンジされていてとても新鮮だった」。 金光植さん(55、総聯墨田分会長)は、「東京公演は4年ぶりということだが、年に2回くらいはしてほしい。日本で育った若い世代が朝鮮の音楽を聞いて心で感じることこそが大切ではないか。日本の人たちもたくさん見に来ていたので、日本の曲ももっと演奏されればいいと思った」などと話していた。(金潤順記者) [朝鮮新報 2004.4.10] |