高麗人参余話(35)−病害 |
田んぼに人蔘を栽培する場合、人蔘を収穫した後、湛水して稲を栽培すれば土壌は還元状態になり、酸素が足らなくなって土壌中の根腐病菌は生育が止まり、死滅して病原菌の密度が減少する。人蔘を収穫した後、田んぼで5年ほど稲を栽培してからまた人蔘を再作してもこれといった障害が発生しないので、人蔘の再作年限を大きく短縮した。
人蔘の連作障害を防止する方法として、田んぼに人蔘を稲と輪作して根腐れ病菌の密度を低下させ連作障害を抑制する栽培的方法、それに拮抗微生物を利用し根腐れ病の発生を抑制する生物学的方法とがあるが、生物学的方法はまだ実用化に到っていない。 人蔘の栽培過程で土壌の殺菌のために化学薬品が使われている。最も効果的に、たくさん使われているのはクロールピクリンという薬品(土壌の薫蒸消毒剤)である。 朝鮮では6年生の人蔘収穫を基本としているが、日本では5年目に病害が発生することが多いので江戸時代から4年生で実を取り、根を収穫して被害を少なくする栽培方法を取った。5年目に根っこを腐らせたのでは、栽培農民にとって5年間の苦労が水の泡になってしまうからである。 会津地方では今でも4年生か5年生で収穫している。人蔘の根は4年生から6年生にかけて大きく成長し、サポニンなどの有用成分も増えてくるので残念なことである。 化学薬品で土壌を消毒した場合には、新たに残留窒素の問題が発生して、枯れたり腐ったりする危険性が強い。 人蔘に生理的障害を誘発する危険があるので、消毒の後には過剰の無機窒素を吸収してくれる麦、大麦、トウモロコシなどを無肥料で栽培した後に作付けする。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師) [朝鮮新報 2004.4.16] |