軍事政権の残忍さに憤り |
「シルミド」で主演 ソル・ギョングさん 「平壌に侵入し、○○○○を暗殺せよ」−こんな機密指令を受けた特殊部隊が、かつて南に存在していた。KCIA主導で創設されたこの部隊のメンバーは無期懲役囚や日雇い労働者など社会の底辺であえいでいた者たち。3年にわたる過酷な訓練によって仕立て上げられた「殺人兵器」だったが、最後に彼らは朴正煕軍事政権に反乱し、全員抹殺された。 長く南の社会でタブーだった実話を基に制作された映画「シルミド」が、史上初めて1200万人以上の観客を集める大ヒットとなっている。その話題作が6月5日から、日本の東映系劇場で公開されるのに先立ち、8日、都内でアン・ソンギら出演者が来日記者会見を行った。 主演のソル・ギョングは「関係者に生存されている人もいて、つらい過去を掘り起こすことになるので、不安感もあったが、真心を込めて演じた」と述べた。 「飲み水」以外の水は大の苦手というソル・ギョング。撮影とはいえ四方を海に囲まれた仁川沖の実尾島に3カ月間も閉じ込められた日々を「精神的にも鬱々し、うちみ、ねんざ、生傷が絶えなかった」と振り返った。そして、「軍事政権下で行われた残忍な行為に激しい怒りと憤りを、そのために死んでいった人たちに深い哀悼を感じている」ときっぱり語った。さらに、「南北の緊張緩和が進み、互いに関心と理解を持つようになった今だからこそ、このような映画が作られ、人々の共感を得られるようになった」と胸を張った。 [朝鮮新報 2004.4.20] |