高麗人参余話(36)−加工(1) |
夏も過ぎ旧盆の頃になると人蔘が収穫される。畑にかけておいた屋根やシートを外し、茎も刈り取る。昔は人蔘の掘り起こしを夜明け前から農家の人たち総出で、手作業で行ったが今では作業はとても楽になった。収穫したばかりの人蔘は上の上から下の下まで選別してから水洗いして泥を除く。収穫した人蔘は一つひとつ丁寧にひげ根を取り、水洗いした後乾燥、あるいは湯通ししたものを乾燥する。昔は和紙の上に人蔘を並べて練炭の火で夜通し乾燥したので見張りの人が寝入ったり、席を立った隙に火がついて火事になることもしばしばだったらしい。収穫した生の人蔘を土蔘あるいは水蔘と呼ぶがウリナラでは生のままの人蔘の需要が高い。日本ではウリナラとはちがい高貴薬のイメージが強い反面、日常生活に密着していないのは面白い。ウリナラや中国は生産国であると共に消費国でもあるが、日本では生産した人蔘のほとんどが輸出用であり、漢方薬にたくさん使っている消費用の人蔘には安い中国産の人蔘を充てている。日本では人蔘の文化は育たなかった。
人蔘は人間と同じく重さの約70%が水分である。昔、流通が発達していない時代には人蔘を陸路や海路で長時間かけて運び外国と取引したために旅の途中で人蔘が腐ったり、虫に喰われたりする事がしばしばだった。それらの弊害から人蔘を守るために早くから加工法が工夫された。 人蔘は加工法により紅蔘、白蔘に分ける。 人蔘の根を90〜93度の蒸気で二〜三時間蒸してから75〜80度の乾燥室で7日から12日ほど乾燥するのが紅蔘(ホンサン)、生根の皮を竹でできたへらで剥き、天日干しにして得られるのが白い色をした白蔘である。その他にも生根を沸騰したお湯の中に10分ほど漬けてから天日あるいは火力で乾燥した湯通し蔘、4年生以下の細いものを原料にして皮のついたままひげ根を除き棒状に乾燥した生干し蔘などがある。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師) [朝鮮新報 2004.4.30] |