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〈みんなの健康Q&A〉 肥満症(中)−予防と治療法

 Q:肥満症にならないための予防と、なった場合の治療法について教えてください。

 A:基本的には予防も治療も同様です。その治療原則の1番目は低エネルギーバランス食です。肥満の形成、すなわち体脂肪の増大は、過剰のエネルギー摂取から生ずる正のエネルギーバランスの中性脂肪への転化貯蔵により生じます。よって、食事療法を中心とした負のエネルギーバランスを達成することが何よりも大切です。2番目は運動療法です。肉体運動はエネルギーバランスを負に保つ大きな要素です。また、長期間の運動持続により肥満に存在する病態、例えば糖尿病、高脂血症(中性脂肪やコレステロール値が高い)、高血圧さらには心臓筋肉の代謝などを改善することが期待できます。

 Q:1日の摂取カロリーはどのくらいが適当ですか。

 A:これは人によって体格もふだんの仕事量も違うのでいちがいには言えませんが、1400〜1800カロリーだと十分低カロリー食といえるでしょう。各食品のカロリーを知るには、本になっている食品交換表を利用すると良いでしょう。

 Q:運動療法は具体的にはどのように考えればよいですか。

 A:まず注意しておかなければならないことは、太っている人が急に無理な運動をすると膝や腰を痛めたり、運が悪いと狭心症、心筋梗塞あるいは脳卒中を引き起こしてしまうことがあるということです。有酸素運動という言葉を知っていますか。運動時、筋で使うエネルギーは体内の代謝により供給されなければなりません。その際に有効に脂肪を燃やすのには十分な酸素が必要になります。このような、酸素が必要で酸素の供給に見合った強度の運動を有酸素運動といいます。逆にいえば、強すぎる運動はいわば酸欠の状態でエネルギーを産生しなければならず、脂肪を燃焼することができません。

 日常最も可能な有酸素運動は歩行です。だいたい10分間ぐらい歩くと体脂肪に火がつくといわれています。その他、ゆっくりと時間をかける水泳、自転車なども良いでしょう。特別な運動ではなく、よく歩くとか、エレベーターを使わずに階段を利用するとか、こういった活動的生活を毎日心がけることが体脂肪減少に役立ちます。

 Q:食事だけでなく、適度な運動も必要だというわけですね。

 A:食事と運動の両輪が必要ですが、まずは食事療法を優先し、運動は従と考えるべきです。しかしながら、食事療法しかやらないで、運動療法をしないと大きな問題が発生します。まず第1に基礎代謝が低下してきます。すなわち、少ないエネルギーで生きていける省エネの体になり、体重が減少しにくくなります。2つめは、血糖を調節するインスリンに対する感受性が低下します。詳細な説明は省きますが、糖尿病や動脈硬化を促進し、人体にとってあまり好ましいことではありません。3つめとして、筋肉が落ちて体型が悪くなる、しわが目立ってみすぼらしくなるという問題も起こります。

 Q:やせたけれどプロポーションが悪くなり老けてしまう、というのは絶対いやです。

 A:そうならないためには、有酸素運動だけでなく筋力鍛錬をしなければなりません。手軽なのは駆け足、腹筋運動とか腕立て伏せが良いでしょう。毎日10〜15分間の筋力鍛錬をやるほうが、週に1〜2回、ジムにいって器械を使ったトレーニングをやるよりも効果的です。

 Q:一時的な減量に成功しても再び体重が逆戻りしたり、忙しくてついつい安易な方法に飛びついて結局失敗するという話をよく耳にします。

 A:肥満の形成は単に過食によるだけでなく、社会的環境あるいは心理的因子などの複雑な影響を受けています。とくにストレスや外食優勢の食生活変化は重要な問題となっています。太った原因の解明、生活習慣の改善など、行動修正療法も肥満治療の基本原則の1つです。

[朝鮮新報 2004.5.7]