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〈みんなの健康Q&A〉 肥満症(下)−ダイエット方法

 Q:肥満を是正する基本原則についてお話しをうかがいましたが、それでは暮らしの中でいろいろ試みられている方法について検証していただきたいと思います。世間にはさまざまなダイエット法が氾濫していて、情報誌やテレビ番組でとりあげられたり、本にもなっています。

 A:医学的に無理のある方法が横行しているのは事実です。その代表的なものがいわゆる「単品ダイエット」です。リンゴ、ゆで卵、酢大豆、パイナップル等々、特定の食品を主食とすることでやせることができるというものです。同じ食品のもつ同じ味覚については満腹感を感じやすいので、結果的に摂取する総カロリーが低めになり、体重が減少します。しかし、栄養素の均衡が崩れて大変危険です。一種の栄養失調になり体重は減りますが、こんなことを長く続けられる人はいないでしょう。リバウンドする確率も非常に高く、あまり勧められません。

 Q:サウナ風呂によく通うのは効果がありますか。

 A:サウナ風呂に入って汗をたくさん流すことは、新陳代謝を刺激するので悪いことではありません。しかし、減量という観点からいえば、これは急激な水分流出により一時的な体重減少を生じているだけで、のどが渇くといって水分を好きなだけ飲んでしまえば元に戻ってしまいます。大事なことは体脂肪を燃やすことです。

 Q:俗に言うエステでやせることはできますか。

 A:脂肪組織は非常に丈夫にできており、短時間の外からのマッサージだけで脂肪が落ちることはあり得ません。たいていきつい食事制限を課せられていて、それでも高いお金を払っているのでがんばった結果が減量につながるのでしょう。

 Q:栄養補助食品(サプリメント)をあれこれ買っている人が少なくありませんが、大丈夫ですか。

 A:それらは医薬品ではないので、抗肥満薬としてではなく、生活習慣改善薬として、食事療法や運動療法に対する補助的な役割を果たすものと認識すべきです。肥満や肥満に関連する病態を改善する栄養補助食品には、ガルシニア、ギムネマ、トウガラシ(カプサイシン)などがあります。ひとつ注意していただきたいことがあります。日本ではある単品の食材や飲食物を健康食品と称して、新聞や雑誌で「○○で肥満が改善した」「○○で糖尿病が治った」といった記事・宣伝があふれています。しかし、これらには薬理作用があって確実に体脂肪が取れる、病気が治る、という医学的証明はほとんどありません。

 Q:日常生活のことですが、減量のために朝食を抜く人がいます。効果はいかがでしょうか。

 A:万人向きの方法とはいえません。寝る前と違って、朝食の後には必ず何らかの身体活動があるわけですから、食べても脂肪はつきにくいはずです。1日2食だと食事の間の時間があくため、おなかが空きます。そのため体内での脂肪の合成が盛んになり、食べた物が脂肪としてつきやすくなります。また、朝食を抜くことで全体として食事時間が不規則になり、結局食事量が多くなってしまう傾向があります。食習慣に関してですが、就寝直前の飲食は肥満のもとです。

 Q:ビールや日本酒は太るけれども、焼酎なら大丈夫と友人が言っていましたが。

 A:誤りです。摂取するカロリーが問題であり、むしろ食べる「つまみ」の内容で差が出ます。余談ですが、アルコール飲料のカロリーを気にするあまり食事を粗末にすると肝臓障害を起こすので注意が必要です。

 Q:タバコをやめると太りますね。

 A:禁煙するとどうしても食欲が増進します。また、口寂しい、心理的にストレスがたまる、といった状況から以前より食べる量がふえてしまいます。がまんのしどころですね。禁煙にかぎらず、総じてストレスは過食の大きな原因です。自分なりの解決法を見出して下さい。

 Q:減量に成功するためには、どういった心がけが必要ですか。

 A:絶対無理をしないこと、すなわち自分の生活様式に合った長続きする方法を考えることです。今までの生活習慣をいっきに変えてしまうのはよくありません。次に、目的意識をしっかり持つことです。なにも難しいことではありません。家族のために健康を維持したい、自分をかっこよく見せたい、スポーツがもっとうまくなりたい等々、いろいろあると思います。実は、肥満の治療法には薬物や外科手術治療というのもありますが、これらは極めて特殊な場合に限られています。(東京都足立区平野1−2−3、TEL 03・5242・5800)

[朝鮮新報 2004.5.14]