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「朝鮮名峰への旅」(2) 風薫る5月、春の白頭山 山肌がピンクに輝いていた

 北海道の桜は今が盛りであるが、白頭山の山麓においても、風薫る5月は春のまっ盛りである。大陸の山でしか味わえない澄んだ青空のもと、鮮やかな新緑に全身が緑に染まりそうな気がする。

 白頭山の山麓をドライブする。白頭山は雄大なカルデラ式火山であり、山麓は複雑な地形をしている。南側には、覆流水として流れ出した鯉明水滝が、100幅のすだれ状となって、ざわざわと本流に流れ落ちている。この川は鴨緑江の源流にあたる。

 近くの山肌がピンクに輝いているので、近づいてみる。斜面一面、エゾムラサキツツジの花で覆われていた。カラマツの新緑に、見事な花園が映える。

 山麓を東北へとまわると、白樺の林が続いている。所々に真っ白な花が風に揺れている。あまり見かけたことのない花である。小さい花が寄り集まって房状になっている。エゾノウワミズザクラという桜の一種であるという。木一面に咲き誇る花の房が、そよ風にゆらゆら揺られている様は、壮観である。

 5月の中旬、春たけなわの山麓から、天池へと向かう。稜線からカルデラに入ると、そこは冬そのものの荒涼とした風景が広がっている。

 天池にはまだ一面ぶ厚い氷が張っている。朝寒いうちは、湖面の上を歩いてもビクともしない。誰もいない天池の湖面を歩き回る。普段は撮ることのできない将軍峰も、湖面側から撮影することができる。しかし日中気温が高くなると、氷の表面が溶けてシャーベット状になる。長靴を履いていないと、ひざ下ぐらいまで冷たい水に浸かってしまい、とんでもないことになる。溶け始めた天池の氷は美しいとはいえない。これは大量の黄砂が降り注ぎ、模様を作ったものと思われる。

 この季節は、山麓と山頂付近の景色が最も異なる時期といえよう。(山岳カメラマン、岩橋崇至)

[朝鮮新報 2004.5.21]