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高麗人参余話(38)−禁忌

 北京や上海など中国の大都市に行くと繁華街の一番いい場所には漢方薬店が並んでいる。漢方薬を英語でチャイニーズ・メディスン(Chinese medicine)と言うくらいで、中国人は漢方薬をよく飲む。お店に入るとひげの長い長白山(白頭山の中国名)の山蔘がショーウインドウの中に所狭しと、並んでいて目玉の飛び出るくらい高い値段で売っている。

 一度、上海の漢方薬店に入り、お店の人に人蔘を飲んでいけないのはどういう時かと尋ねたことがある。そしたら、即座に帰ってきた言葉が「熱のあるときは飲んではいけない」ということだった。

 これは常識なのである。

 かぜを引いて熱が出るのはかぜのウィルスに対して防御システムが働いて血液中の白血球やマクロファージという細胞が、ウィルスを食べようとして闘っているからである。このようにかぜで熱を出しているときに人蔘を飲むと、循環系の働きを高めるため、動悸が激しくなるので服用を避けなくてはならない。また、大きなおできがあったり、蓄膿症でウミが出るなど化膿性の炎症があるときも服用してはならない。体質的に人蔘を飲むとアレルギー症状を示す人は控えた方がよい。

 ウィルスがマクロファージに食べられてしまうと、熱が下がり気分が爽快になり、お腹が空いて何か食べたくなってくるが、そのときから人蔘を服用すると、肝臓の働きを助け、ウィルスを完全に死滅させるのにも有効である。人蔘は赤血球を増やして酵素の取入れを増やし、細胞の活性を高め免疫力を強めるので風邪の予防に最適である。人蔘はかぜの予防と治療の両面で有効である。かぜで熱があるときは、葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)を処方する。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師)

[朝鮮新報 2004.5.28]