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〈本の紹介〉 「シルミド―裏切りの実尾島」

 日本でも話題沸騰の映画「シルミド/SILMIDO」と本書の間にはさまざまな異同がある。小説と映画というジャンルの違いがあるにせよ、著者は、本書が「実尾島」の真相を最も正確に明らかにしていると自負している。

 1971年8月23日、「韓国」を震かんさせた「684部隊」の暴動。実尾島で3年4カ月もの間、北派工作員として血で血を洗う訓練に耐えながら「北派命令」を待っていた彼らが、教育兵18人を殺害し、青瓦台(大統領府)を目指す。が、軍に包囲されソウルの街中で手榴(りゅう)弾によって自爆し、生き残った4人も軍法会議にかけられ、死刑を執行された。

 「韓国政府」は当初、この事件が「共産ゲリラ」によるものだと報じたが、すぐに「空軍管理下で…収容されていた囚人たち」と訂正する。その後30年以上もの間、歴史の闇に葬り続けてきた。

 分断の狭間で、今なお国家機密」として封印されたままの実尾島事件。彼らをして、死ぬとわかりながらも青瓦台に向かわせた理由とはいったい何だったのだろうか。何を思い死んでいったのか。「韓国現代史」の暗部をえぐる実録小説。映画は6月5日から公開予定。(イ・スグァン著)(茂)

[朝鮮新報 2004.5.28]