高麗人参余話(39)−高血圧 |
人蔘は血圧を上げるから高血圧の人は飲んではいけないと多くの人が信じている。人蔘を飲むと血圧が上がるというのは俗説でありまちがいだ。人蔘には即効的に血圧を下げる効果とともに血栓を防ぐ作用もある。血液循環が改善されて血圧が下がる。人蔘は、高血圧は下げ、低血圧は上げるという両面の作用がある。人蔘の特徴である生体の恒常性を維持する方向に働くのである。 西洋医学と漢方では考え方が根本的にちがうのでどちらが優れているかではなく、両方のよいところを活かしていくのが賢いだろう。降圧剤は即効性があり、血圧を下げる効果はあるが体全体のバランスを崩してしまう。降圧剤を飲むと降圧剤の利尿作用により、トイレが近くなったり、お年寄りのボケが進行したりする。脱力感、高脂血症、痛風、糖尿病、聴力障害、性機能異常などの副作用が伴うことがあるので注意が必要である。そういうときには体全体のバランスを取っていく人蔘や漢方薬を使うのが効果的である。高血圧の治療には降圧剤を飲みながらも漢方薬を併用した方が副作用を抑えられる。 高血圧の大部分(約90%)は本態性高血圧で主に遺伝的要因で血圧の調節機構がちょっと狂った状態である。もうひとつの二次性高血圧は腎障害、脳炎、甲状腺、脳下垂体、副腎などの内分泌系の障害などから起こるものでその原因を治さないと降圧剤のみでは効果がないものを指す。 漢方では患者に対して患者の体力の質的なちがいを虚・実、すなわち「虚証」と「実証」に分けて診断をする。実証はがっちりとした体格で、体力もあり元気な人、虚証は痩せ型で体力が弱く、病気がちな人を指す。ところがいつのまにか虚証タイプの人が人蔘の適応とされ、実証の人、高血圧の人にはよくないということになってしまった。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師) [朝鮮新報 2004.6.4] |