top_rogo.gif (16396 bytes)

高麗人参余話(40)−万能薬

 人蔘はウコギ科人蔘属に属する多年生の宿根草である。野菜のニンジンとは名前が似ているのでよく混同されるがニンジンはセリ科に属する別の品種である 人蔘の学名は1754年に植物学の大家カール・リンネがギリシャ語で汎てを意味するPanと医薬を意味するAxosを組み合わせて万病薬という意味でパナックス(Panax)と呼び、その後1843年ロシアのメイヤー(Carl Anton von Meyer)がパナックスジンセン(panax ginseng C.A.Meyer)と命名して学名に定着した。

 日本では高麗人蔘というよりも朝鮮人蔘の方が一般的であるが、江戸時代後期に幕府により栽培を奨励されたので「オタネニンジン」と呼ばれてきた。薬用人蔘とも呼ぶ。

 同じウコギ科に属する人蔘の仲間には朝鮮人蔘だけでなく、中国の雲南省から江西省にかけて採れる田七人蔘(別名、37人蔘)、エレウテロコックの根でシベリア、中国黒龍江省、朝鮮半島北部に生育するシベリア人蔘、北アメリカが原産でアメリカ東部、カナダの肥沃な土地に自生している西洋人蔘(別名、広州人蔘、洋蔘)等がある。これらは同じウコギ科に属する共通点がある半面それぞれの特性が違うので注意が必要だ。

 田七人蔘は16世紀末「本草綱目」に載った比較的新しい薬で「出血を止め、漆のように粘って傷口をしっかりと癒合する」。打ち身、潰瘍、ガンなどに効き、肝臓の血の流れをよくする。西洋人蔘は朝鮮人蔘同様足りない「気」を補って体を元気にするが、薬の性格が「涼」であるため、体の働きは元気にしながらも中枢神経を抑制し、沈静化させる作用がある。薬性が「温」である高麗人蔘とはこの点が違う。高麗人蔘に比べると補気作用は少し弱いが解熱、鎮静、鎮痛によいとされ使用範囲が広い。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師)

[朝鮮新報 2004.6.11]