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故郷の風景、歌に込めて

第42回朝・日友好展に出品 李瑾愛さん

 さっとゆでた薄い緑のキャベツ/黄緑色のふき/とれたての黒いわかめ/青々としたよもぎ/たんぽぽ/ごはんを包んでアーンと食べれば/口いっぱい春の味(「春の味覚」 李瑾愛)

 先日、神奈川県で開かれた第42回朝・日友好展に書芸作品を出品した。生活の中のささやかなできごとを朝鮮語の詩に託し、オリジナルの柔らかな書体で表現した。「創作活動といっても大それたことをしているわけではない。日々の暮らしの中で、あっ、と思ったことをちょこちょこっと書き留めておく程度」。

 短い詩の中には、亡き母から受け継いだ「朝鮮の春の風景」が織り込められている。「大げさな表現ではなく、ささやかな民族性を表したかった。旬のものをおいしく食べる。春はサンナムル(山菜)が欠かせない。日本の人と違って、朝鮮の人たちは口いっぱい頬張らないと気がすまないでしょ?」と微笑む。

 書芸をはじめて5年。「宮体」や「版本体」といった「お手本」を写すのではなく、「オリジナルの書体」で表現したのは今回はじめて。

 李さんの母親は13歳で日本に渡り紡績工場で働いていた。幼い頃から故郷の話を聞きながら育った。

 「故郷の家の前には大きな柿の木があって、秋になると枝が地につくほど実がたわわになったと話していた。3年前、はじめて総聯故郷訪問団で訪れたとき、オモニの話通り家の前には大きな柿の木があった」

 作品は、総聯活動家の夫に贈る詩など多数ある。

[朝鮮新報 2004.6.15]