〈本の紹介〉 朝鮮半島の核 |
本書は、「はじめに」で著者が指摘しているように「朝鮮半島の核問題の発生とプロセス、その展望について、一つの視点を提起する」ことを目的にしている。 内容は「〇章 問題の所在はどこにあるのか」「一章 冷戦終結後のアメリカの朝鮮政策」「二章 朝米核対決」「三章 日米同盟と朝鮮」「四章 朝鮮の生存戦略」「終章 今問われているもの、試されるもの」からなるが、@多くの研究者の成果を引用しながら朝鮮関係を論じ、次に著者自らA冷戦後の朝鮮の生存戦略を論じ、なかでもB朝鮮の外交、改革、国防統一政策のまとめに力を割いている。 この問題を扱った図書は数多いが、ほとんどに共通している決定的な欠陥は、朝米双方の立場に対する均等なアプローチ、とりわけ著者が論じたAとBの部分に対する研究、分析不足、独善的な思いこみ、さらには無知である。原典によらない2次、3次資料の類をベースとしているものが異常に目に付く。 著者は「四章」で「守るが勝ち戦略―四つの柱」、つまり外交における「協調自主」、南北間の「民族和解、共助」、経済の「実利」、国防の「先軍政治」と分析する。「先軍政治」の位置付けについては、さらに多くの議論を期待したいが、「朝鮮半島の核」というテーマには十分に答えている。(金宗鎭著)(彦) [朝鮮新報 2004.6.23] |