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高麗人参余話(42)−萬病通治薬

 20世紀に入り、人蔘の経験的、伝承的な効能を科学技術の粋を傾け科学的に、薬理的に裏付ける努力が続けられ、半世紀以上に亘る研究の結果5000報以上の論文が発表されている。東洋を中心に世界中の大勢の研究者によって人蔘の薬効が精力的に研究されてきた。有効成分について各種サポニン、多糖体、ペプチド、アミノ酸等の分析をしたり、有効成分と薬効との関わりについて研究してきたがいまだ明快に解明できたとは言えない。

 それゆえ人蔘を「神秘の霊薬」あるいは「仙薬」と呼んだのかはわからないが、人蔘は不老長寿、補血強壮、性欲亢進、疲労回復など人間にとって最上の経験薬として君臨してきた。

 人蔘は人蔘の持つ特定成分が効果を出すのではなく、有効成分の相乗効果により、効力を発揮するものとみられる。また、特定成分が特定の症状を改善するのではなく複合的に全身に効果を及ぼすのである。

 長寿社会に入った現代では知らぬ間に進行する循環器病やがんに代表される成人病が問題になっており、日本では死因の65%以上を成人病が占めている。高血圧症、動脈硬化症、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、がん、骨粗しょう症など怖い病気ばかりだが、このような病気の治療を受け、副作用が起きて普通の生活がおくれないようでは困る。生活の質(QOL:クオリティ・オブ・ライフ)を守るためには食生活、運動といろいろ考えて副作用のリスクを減らさなくてはならない。

 人蔘は「萬病通治薬」として知られているが現代の健康保険薬のように利用することができて、また、西洋薬との併用で副作用を軽減し、患者のQOLを改善する事ができる。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師)

[朝鮮新報 2004.7.2]