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シルクの語源は朝鮮語の「シル」

 私は1995年9月から5年間、延べ160余日を5回にわたって、西域シルクロードの旅をした。そのときの踏査、体験と調査、研究によって生まれたのが拙著「古代シルクロードと朝鮮」である。多くの新たな発見の中から幾つかの例を紹介したい。

 「シルクロード」という言葉が使われ始めたのは19世紀末で意外と新しい。いわゆる「絹」の道である。そのシルクロードのシルが朝鮮語であることを知り、それこそ、目から鱗が落ちたのだが、スウェーデンの地理学者で探検家のヘディンが、彼の著書「シルクロード」で指摘したように、絹を意味するラテン語は朝鮮語のシルから来ており、なおラテン語のセリカム=シルカムは、ヘディンも知らなかったようだが、これも「絹・糸」を意味する朝鮮語である。このことは、シル、シルカムという朝鮮語が、外来語としてラテン語に定着していたことを意味する。新羅の絹がラクダの隊商や海のシルクロードを通じて1万2千キロに及ぶ路程の果てに、ローマに運び継がれていた事実は、絹(シルク)を媒介として、古代朝・中の東西文化交流、交易が、いかに旺盛であったかを窺い知ることができ、その壮大なロマンに掻き立てられた。 

 朝鮮の三国時代にそれぞれの国で絹生産が活発に行われたが、そのなかでも新羅の絹が最も優れていて、ローマ貴族に大変人気があった。とくに朝霞錦は周辺の国々の国王をはじめとする高位貴族たちのあこがれの的であったという。これまでシルクロードと古代朝鮮との関係はあまり論じられなかった。私は本書をつうじて、初めて古代シルクロードと朝鮮との関係に多面的な光をあててみた。(張允植、高麗書芸研究会会長)

[朝鮮新報 2004.7.7]