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微笑ましい光景

 第28回世界遺産委員会蘇州会議の議長を務めた中国の章新勝教育次官が、「朝鮮の『高句麗古墳群』をユネスコの『世界遺産リスト』に登録する」と決定した際、大会会場からこれまでにない万雷の拍手がわき起こった。

 朝鮮が1998年7月21日に世界遺産条約を受諾して以来、最初の世界遺産登録物件であると同時に、待望論が強かったのは事実であり、登録可否をめぐってのICOMOS(国際記念物遺跡会議)の評価、それに、日本をはじめとする21カ国の委員国からも「賛成」、「強く推薦する」という意見が相次いだ。

 北朝鮮の代表団も各国要人からの祝福で、当惑されているようにも伺えた。なかでも、ユネスコの事務局長補のムニール・ブシェナキ氏の代表団への労い、そして、印象に残ったのが、韓国ユネスコ国内委員会の関係者が、わが事のように喜んでおられた姿である。

 傍観者である私の心にも何か熱いものが込み上げてきて、久しぶりの感動を覚えた。万雷の拍手、手に手を取って、或は、抱き合って、「朝鮮民族の誇り」を称え合う光景は、周囲にも、大変微笑ましいものであった。

 ユネスコの世界遺産委員会では、日朝の国交は、既に正常化している。この事を契機に、朝鮮半島の南北統一、それに、日本からも高句麗古墳群を難なく観光できる日が一日でも早く来ることを切に願っている。

 今後の課題は、人類の共通の財産となった「高句麗古墳群」の恒久的な保護管理に対して、どのような協力が可能なのかを考えていかなければならないと思う。(古田陽久、世界遺産総合研究所長)

[朝鮮新報 2004.7.14]