「朝鮮名峰への旅」(4) バイケイソウの大群落の花畑に高山蝶がヒラヒラ舞う |
7月の白頭山は、天候が安定してもっとも写真の撮りやすい時期である。 白頭山周辺は高山植物の宝庫である。春の花から始まり、夏ともなるとバイケイソウ、ヒナゲシ、イワベンケイソウ、ミヤマオダマキ、チョウノスケソウなどが、次から次へと咲く。それも一株二株というのではなく、大群落のお花畑を作っている。お花畑には、めずらしいウスバキチョウなどの高山蝶がヒラヒラと舞う。 夏山の日の出は早い。朝4時前には、太陽が昇る。日本の日の出と異なり、白頭山では太陽は顔を出したとたん、いきなり強く鋭い陽射しとなって降り注ぐ。湿気の多い日本では、こんな日の出はほとんど見ることができない。 白頭山山頂に立つ。見渡す限りの地平線は平らでほとんど起伏がない。そのまっ平らな地平線から太陽が昇ってくる。白頭山の山脈に光線が当たると、山は一気に目覚める。 ゴムボートで天池を渡って、対岸へ行く。ゴムボートは船外機付きで、白頭山を調査するために使う学術用のものである。そのゴムボートに乗せてもらった。天池は中国との国境となっているが、湖面上であればどこへでも行くことができる。 国境近くの対岸にゴムボートを着ける。あたりは氷河によって大きく削り取られ、お椀の底のような地形をしている。ゆるやかな斜面には草花がびっしりと咲いている。その中にめずらしく、湖に向かって流れ込む小川があった。清冽な流れはほてった体を生き返らせてくれる。口に含む。冷たい水が、喉を心地よく駆け下る。 斜面を国境のある稜線まで登っていく。途中のお花畑には、バイケイソウの白い花が群れて咲いていた。天池の向こうには将軍峰が聳えている。(山岳カメラマン、岩橋崇至) [朝鮮新報 2004.7.23] |