〈詩〉 希望の灯 |
かつて、かの島で絵筆をふりあげ 逞しくも力強く生きる島の女達を 美しくあやしげな風影を見据えながら 人はどこから来てどこへ行くのか 地底に潜む人間の魂を描く画家がいたという ならば在日はいつどのように現れ その生きた証をいかに刻んで 未来には希望の灯があったのか 在日二世の私は あまりにも速い時代の流れにとまどい いまだのしかかる凍てつく風に息をひそめていた ウリ民族フォーラムin九州 いつにもない熱気を感じながら 中央あたりに座を求めた どよめきの中に若く生き生きとした新時代の息吹があった 私は背筋を伸ばして幕開けを待った 子供達のかろやかな民族舞踊に見とれ 崔監督のビデオメッセージに期待を感じる 上映されたリメンバー・スピリッツ この地の在日同胞達は 故郷を奪われ肉親と引き裂かれて 軍艦島や三井・三池の地底に閉じ込められた 地表に掘り出された黒い塊は 同胞達の血と涙の化身であった イワシ以下の扱いと鞭打たれた肉体の苦痛よりも 民族の尊厳と魂を奪い去ろうとする圧力に 耐え切れぬ苦しみを味わってきた 同胞達は解放の喜びもつかの間に 民族の魂を呼び戻す新たな闘いに挑んだ 在日子弟の民族教育への道のりであった 映画はその歴史を克明に映し出した 二度と我が子を暗黒の地に追いやらぬために 一世達の命がけの闘いがあった 胸が締めつけられ涙が溢れて 無から奇跡を創造した 先達の崇高な生きざまに頭がたれた 二世達に引き継がれた魂は この四月にホテルのような新校舎となって輝いた パネルディスカッション 自信に満ちたパネラー達の分析と論説に聞き入った 一世紀にわたる植民地と分断の悲劇は 在日の未来に重くのしかかっているが すでに闘いの主役は三世の時代に 統一はスローガンではなく六.一五から大きなうねりが起きている 韓国の友人の挨拶に勇気が湧いてきた ミュージカル 映画を彷彿とさせる生きた動きがあった 在日の過去と現状と未来に対する視点が鮮やかに上演されていた すべての出演者が三世、四世であろうと思われる 彼らは在日の歴史的使命感に応えていた あふれる情報の時代に 新しい世代に不安と心もとなさを感じていたが 立ち向かう新たな力に感銘した 民族の尊厳と魂を守り 光り輝かすことはたやすいことではないが 期待と希望の灯は赤々と燃えていた 帰路のバスの中、一世の아저씨(アジョシ)と酌み交わした 缶ビールは格別の味がした 감사합니다 청상회(カムサハムニダ チョンサンフェ) (ウリ民族フォーラムin九州に参加して、金正培) 2004年6月27日 [朝鮮新報 2004.7.26] |