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「戦場の『慰安婦』」JCJ賞受賞

ルポライター 西野瑠美子さん

 汚れた衣服を身にまとい、疲れ果てた表情で岩肌にもたれかかるお腹の大きな女性。その写真は、1944年9月、中国雲南省拉孟で中国軍第8軍の捕虜となった4人の朝鮮人「慰安婦」を写した物だった。この1枚の写真を元に、女性が朝鮮民主主義人民共和国南浦に暮らす朴永心さんであることを突き止めたのは、撮影から56年の歳月が流れた2000年のこと。

 故・松井やよりさんと共に「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW−NETジャパン)のメンバーとして訪朝。00年末に東京で開かれた女性国際戦犯法廷が終わってからも、朴永心さんの詳しい軌跡をたどり、日本、中国、朝鮮半島を丹念に歩き、その全人生を明らかにした。

 著書「戦場の『慰安婦』/拉孟全滅戦を生き延びた朴永心の軌跡」(明石書店)には、日本軍の残忍な性奴隷制度の実態が明かされている。

 先日この本が、第47回JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞に選ばれた。JCJは1955年2月、「ふたたび戦争のためにペンを取らない」を合言葉に、新聞、放送、出版など日本全国の企業、フリーのジャーナリストによって結成。58年以来、毎年その年のすぐれた言論、報道活動をした団体、個人に賞が贈られている。

 「弱者の立場に立って真実を報道することを使命」としてきた松井さんの意志を継ぎ、現在、女性国際戦犯法廷に関する異常な番組改ざんを行ったNHKなどを相手に、裁判を起こしている。

[朝鮮新報 2004.8.25]