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高麗人参余話(48) 人蔘湯

 蔘鶏湯は料理だが人蔘湯は漢方薬である。漢方では4〜12種類の生薬を用いる場合が多く、この処方を方剤と呼ぶ。漢方方剤の構成は「君」「臣」「佐」「使」の4種からなる。君とは主薬の事で臣は補助薬、主薬を助けて主薬の効果を増強、促進する。佐の薬物は主薬の作用を抑制するほか、副作用を除去し、主薬に毒性があるときにはそれを減少させる。千年以上に亘り受け継がれ使われてきた「人蔘湯」(人蔘3、乾姜3、白朮3、甘草3)に当てはめてみると、君は補血強壮、健胃強陽、新陳代謝を促進する人蔘。胃腸の機能を高め、新陳代謝を促進し、体力を増強させるほか、鎮静、利尿、抗疲労の作用があり、精神を安定させる。

 臣は人蔘を助けて脾胃を温め、寒を散らす乾姜。佐は胃内の停水を駆逐する白朮。使は甘草で、これらの諸薬を調和すると同時に、鎮痛作用もある。これら4種類の生薬が上手に配合され、お互いに影響しあってより大きな効果を表すのが漢方の処方である。

 人蔘が配合生薬中で方剤の中心になっているものには人蔘湯の他に大健中湯、四君子湯、桂枝人蔘湯、六君子湯、補中益気湯、十全大補湯、帰脾湯、人蔘養栄湯等がある。人蔘がたくさん入っていても君薬としてではなく臣や、時には佐使として使われる場合もある。一方、人蔘が脇役になっているものには呉茱萸湯、木防己湯、茯苓飲、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、麦門冬湯、黄連湯、半夏瀉心湯等がある。 配合量が少なくても本来の君薬としての働きをするものもある。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師)

[朝鮮新報 2004.8.27]