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〈本の紹介〉 花時計・ピョンヤン駅 朝鮮民主主義人民共和国の児童文学

 このたび、朝鮮民主主義人民共和国の児童文学「花時計・ピョンヤン駅」を、素人社の好意により、コリア児童文学選として上梓することに相成りました。

 「北十字星文学の会」としては、3年前より、翻訳の準備に取り掛かりましたが、激変する朝鮮半島情勢や、日本国内での諸情勢により、出版を見合わせざるを得なくなりました。今回、このように漸く出版の運びとなり、感無量であります。

 もちろん、みなさん方の中には、どうしてこの時期にと、疑問をお持ちの方もいることと思いますが、南北の「統一児童文学」を目指す日に向けての素地になればと思っております。

 解放後59年、今までに朝鮮の児童文学が、こうした形で出版されたことはありませんでした。その意味でも、日本の児童文学にとっても、また翻訳界にとっても、意義のあることだと言わざるをえません。

 この間、南北首脳会談や、朝・日首脳会談など大きな進展がありました。しかし、朝鮮半島情勢は依然として厳しく、まして日本では朝鮮に対して、よいお話は伝えられません。恰も朝鮮の人々が、すべて悪い人間でもあるかのように、常に朝鮮バッシングの連続であり、またその延長線上で、在日の子ども達への暴言や脅迫なども続いています。

 確かに、朝鮮は今も南北分断国家の苦渋を強いられており、経済的にも豊かな国ではありません。食糧も資源も不足しております。

 それでも子ども達は、質素な生活の中で、明るく、そしてたくましく生きています。どこの国でもいるごく普通の子どもたちです。

 この作品集を読んでいただいた方は、ごく平凡で、素直な(時には純粋無垢な)子どもたちに、逆に首をかしげる人もおられるかも知れませんが、同じ北東アジアの一角に位置する、朝鮮の子ども像をみなさんに知っていただけたらと思います。そして、朝鮮の児童文学が、少しでもアジアの児童文学に近づき、ひいては、世界の児童文学の仲間入りが出来る日が来ることを信じてやみません。(韓丘庸監修、北十字星文学の会編訳)

[朝鮮新報 2004.8.30]