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〈本の紹介〉 高句麗古墳壁画

 中国江蘇省・蘇州市で開かれたUNESCO(国連教育科学文化機関)第28回世界遺産委員会で朝鮮民主主義人民共和国の「高句麗古墳群」63基と中国吉林省にある高句麗の旧都・「高句麗王城及び王陵・貴族墓」が7月1日、世界文化遺産に登録された。

 本書は、今年の蘇州世界遺産委員会にむけて、ICOMOS−Korea(国際記念物遺跡会議韓国委員会)が製作したもので、朝鮮民主主義人民共和国文化保存局、朝鮮新報社コリアブックセンターの全面協力を受けたもの。蘇州会議で委員たちに配布され、大好評を博した。

 本書の「まえがき」には、次のような言葉が記されている。

 「高句麗古墳壁画は東北アジアが独自的な文化圏として存在したことを確認させる歴史的証言であると同時に貴重な文化遺産である。3世紀末から姿を現す古墳壁画は高句麗が自国を中心に独自的な世界を築こうと奮闘した過程、東北アジアを高句麗の『天下』だと自負しながら創造した文化的成果を生き生きと示す歴史現場の報告書だとも言える」

 本書に掲載された高句麗壁画古墳の写真は、現代の技術の粋であるデジタル画像処理され、従来のものより、壁画の色彩がより美しく華麗によみがえった。それが「高句麗古墳群」の世界遺産登録の際に見事に、南北の連携によって結集され、実現したことは喜ばしい。

 現在、中国が「高句麗史」を自国史に組み入れようとする動きを強めており、朝鮮の南北の民衆はこれに対し、警戒心を抱き、激しく反発している。

 「高句麗古墳群」の世界遺産登録を報ずる中国の国営通信新華社7月2日付は「高句麗は中国の一地方政権だった」と宣伝したのをはじめ、中国外務省のホームページから高句麗の記述を削除するなど歴史の「わい曲」は目にあまるるものがある。これについて、今春平壌で開かれた歴史シンポで金日成総合大学歴史学部キム・ウンテ講座長は、講演の中で強い警鐘を鳴らしながら次のように指摘した。

 「高句麗は檀君朝鮮を継承し、3国時代の歴史を主導し、その後渤海―高麗―朝鮮王朝に繋ぐ民族国家の伝統と国のスタイルをもたらした大強国である。しかし、現在、外国の一部の大国主義者たちが高句麗の歴史とわが民族国家の伝統と地位を抹殺しようとあらゆる手段をろうしている。彼らは高句麗が中国の古代国家の地方政権、少数民族国家だとわい曲しながら、高句麗中心のわが民族の伝統国家をすべて否認し、朝鮮半島南部地域においてのみわが民族が生活し、発展したという詭弁をろうしている。これはかつて日本帝国主義の御用史家たちが口にしたものと同じ民族抹殺策動の延長であり、決して許すことはできない」

 同講座長はさらに、大国主義者たちが高句麗をはじめとする朝鮮史をわい曲しようとしている動きに警戒心を強めようと強調した。

 朝鮮民族がもっとも誇る高句麗史を否認しようとする隣国の一連の動きは、南北民衆の怒りをかっており、この歪みを正す道は、やはり民衆が一つになって、自国の歴史を守ろうとする気概ではないだろうか。その意味で本書の発売はまさしく「朝鮮民族は高句麗を継承する一つの民族」であることを内外に示したものであり、大きな意味をもつ。(ICOMOS−Korea編)(朴日粉記者)

[朝鮮新報 2004.9.6]