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「祭典の趣旨に感銘」平壌映画祭典に作品を出展した監督たち

 既報のように、9月12〜20日にかけて、平壌で第9回平壌映画祭典が開催された。40余の国と地域から約100編の作品が出品された祭典で、高い評価を受けた「心の国」を出品した英国のダニエル・ゴードン監督と、「映画狂」を出品したイランのイブラヒム・バヒジャデ監督に本社特派員がインタビューした。その要旨を紹介する。

映画に対する愛情実感

イラン、イブラヒム・バヒジャデ監督

 最近10年間、イランの映画界は世界の映画ファンの心を魅了するいい作品を世に出したと自負している。

 イランでは、市民はもちろん国家レベルでも映画に大きな関心を抱いている。イラン映画は、芸術性を求めながらエンターテイメントも重視する。また、さまざまなテーマを扱いながらも、底流には人間の愛やきれいな心が流れている。このようなイラン映画が世界的な評価を受けていることは、イラン映画界全体の喜びだ。

 映画は総合芸術と言えるが、私自身常に肝に銘じているのは「芸術のための芸術」、芸術至上主義に陥ってはならないということ。各国の映画がそうであるように、イラン映画も人々の生活をそのまま描いている。そして、映画を見た人々に人間らしく暮らせる方法を伝える。

 今回出品した作品は、身を裂くような困難を伴うイランでの映画製作過程を描き出した。その一方で、この映画製作過程は人の人生とも重ね合わせることができるかもしれない。人生には多くの苦難と苦痛があり、それらに打ち勝ち自分の目標と理想を実現する過程こそ生きがいと言えるのではないだろうか。

 平壌映画祭典で自分の作品が上映され高い評価を受けたのは、映画の演出家としてとてもうれしいことだし、イラン国民もこれを聞いたら民族的な誇りを強く感じるだろう。

 また、各国の映画人との親ぼくと交流を深め、各国の映画芸術の発展を推し進めるという祭典の趣旨に感銘を受けるとともに、映画に対する朝鮮の人々の愛情の深さを実感することができた。(イラン、イブラヒム・バヒジャデ監督)

※「映画狂」(Movie Mania):監督自身の体験をもとに、苦難に満ちた映画演出家の映画製作過程をユーモラスに描いた作品。脚本内容の変更を条件に映画製作を認められた主人公が、映画製作を受け持つ行政部署の再編成と政府の政策方向の転換により脚本を却下され、精神分裂症になってしまう。

朝鮮の「別の視点」を

英国、ダニエル・ゴードン監督

 作品に登場する人たちの姿を通じ、西側諸国の人々が一般的に抱いている印象とは違ったもう一つの朝鮮の姿を見せることができたと思う。

 朝鮮を理解するうえで重要な概念のひとつは、集団主義。私は作品を通じ、朝鮮のマスゲームは朝鮮の写実主義の表出であり、集団主義の最高表現だと説明した。指導者に対する忠実性や集団主義精神、米国に対する憎悪などは朝鮮を理解するうえで重要なキーワードとなるだろう。

 この作品は10月には釜山でも上映される予定だ。

 前回の映画祭典には、スポーツは政治や思想に比べ中立的で、国と民族に関係なく人々を結びつけることができるとの思いから、66年の第8回ワールドカップ・イングランド大会で8強に入った朝鮮のサッカーチームの姿を追った「生のゲーム」を出品し、特別賞を授与された。

 私は初めからある特別な政治目的を持って映画を製作していない。ただ、スポーツや文化を通じて、西側世界で流布している朝鮮に対する画一的なイメージを変えたかっただけだ。

 西側で朝鮮について知られていることのほとんどは、核問題や政治、社会制度に関するものであり、とても否定的な視点から見たものだ。

 英国の人々は、私の作品を通じて朝鮮に対する理解が深まったと思う。朝鮮のことを知り互いに親しく付き合ううえで、朝鮮の政治と社会制度の正邪を問題視することは大きな問題ではないと思う。自分の作品が、否定的な要素で一貫している視点とは違った、朝鮮に対する「別の視点」を与えるのに役立つだろうと信じている。(英国、ダニエル・ゴードン監督)

※「心の国」(A State of Mind):昨年9月、平壌で行われたマスゲームに出演した2人の女子中学生とその家族の姿を現地で半年間、追って製作したドキュメンタリー。作品は、英国内のメディアで大きく取り上げられ話題を集め、英BBCで放送された際には高い視聴率を得た。

[朝鮮新報 2004.10.2]