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高麗人参余話(55) ストレス

 生きていくのにストレスはつきもので、多少のストレスは刺激にもなり必要な面もある。現代社会では肉体的、精神的な疲労をはじめ環境、社会、人間関係などさまざまなストレスに打ち勝たなければ病気になってしまう。からだに異常がないのに「心臓がドキドキする」とか、ストレスで胃がキリキリ痛くなった経験を持たない人は少ないのではないか。ストレスは食欲不振、高血圧、便秘の原因にもなる。

 からだの内部の均衡を一定に維持しようという恒常性(ホメオスタシス)が外部からの刺激で壊れてしまいストレスが長い間持続して耐えられる限界を越えてしまったときにさまざまな病気を誘発する。

 人蔘には「気を鎮める」効果がある。高麗人蔘の成分には大脳皮質の興奮を抑制し鎮静させると同時に、精神活動を高める作用があり、動物実験では学習効果を高める作用もあるとされている。体内の代謝を促進し、タンパク質、核酸、脂質等の合成を促進する作用があるからだ。思いのほかの衝撃や心配事が起こった場合、顔が青ざめるのは交感神経が興奮しすぎて血管が収縮するためであるが、気が落ち着けばこのような状態から解放される。人蔘は自律神経のバランスを程よく調節してストレスに対応できるように持久力を増加させ、疲労を軽減してくれる。

 各種の実験でも通常の状態よりつらい条件がくわわって来るほど、紅蔘の真価が発揮され、その結果恒常性(ホメオスタシス)の保持に貢献する。そのため古くより人蔘を含む漢方処方は、不安神経症、不眠、抑うつ状態など精神症状の改善にも適用され抗精神作用に有用とされてきた。また、冷え性、更年期障害、不定愁訴、産前産後の神経症など女性特有の精神疾患にも優れた効果を発揮している。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師)

[朝鮮新報 2004.10.22]