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〈本の紹介〉 理戦78 日朝関係のアルケオロジー

 今、書店に足を運ぶと 「北朝鮮」本と「冬ソナ」本ばかりが目立つ。

 一方はひたすら悲惨、暗黒で、一方はひたすらすばらしくて、感動的…。

 分断した国家を勝手に自らのカテゴリーで選別して、その狭い判断から一歩も抜け出そうとしない日本の低レベルのメディアの現況が読み取れる。

 そういう日本の状況を憂慮して出されたのが本書である。

 「日朝関係のアルケオロジー」と題する特集には、本紙でもおなじみの韓桂玉・大阪経済法科大教授、宮島一彦・同志社大学教授、鄭大聲・滋賀県立大学名誉教授らの論文も寄せられている。

 古代から近代までの日朝関係を幅広く論じる13本の論文は、日本の中で繰り返しわい曲され、偽造され続ける歴史観について徹底的に追及してやまない。

 日本政府、軍が一体の下で行った「歴史の偽造」、そしてそれに基づく新聞、雑誌、学校教育を通しての世論の操作、誤った歴史認識の広がりが、わずか半世紀の後に迎える惨澹たる敗戦とは無関係ではなかったに違いない。

 そうした古代から近代にかけて連綿と生き続ける日本民族優越観、日本文化の独自論など荒唐無稽な歴史観がいまだに大手を振って歩く中で、歴史の真実を真摯に求めようとする本書執筆陣の奮闘に頭が下がる。

 とりわけ興味深かったのは「ブレンド人種・日本人の誕生」(藤尾慎一郎・国立歴博研究部助教授)」 「DNA分析が描く日本人の起源」(篠田謙一・国立科博人類第一研究室長)などである。

 先史考古学の最新知見で解き明かす「日本人とは何か」という問い。とりわけ、渡来系弥生人は、本土日本や朝鮮半島の集団と密接に結びついていることがDNA研究から証明されつつある。まさに「日本人の単一民族説」は先端科学の面からも否定されたわけである。こうした客観的な歴史観に立てば、東アジアの中の朝・日関係の未来図にも展望が開かれるだろう。(実践社刊)(朴日粉記者)

[朝鮮新報 2004.11.1]