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くらしの周辺−定職に就かない若者たち

 ニート(NEET:職に就いていず、学校機関に所属もしていず、就労に向けた具体的な動きをしていない)の若者たちが日本で68万人を数えるという。

 労働人口減少への危機感から多くの関心を集めているようだが、関連サイト等を見るとそれ以上の問題性を孕んでいるように見える。

 ニートはいくつかに類型化されるが、その多くは、「社会」とどう向き合い、その中で自己をどう位置付けるかに立ち竦んだり、足踏みしている状態だという。

 彼、彼女らの証言などを読むと、RPG(ロールプレイングゲーム)のキャラクターのように、何処かに扉を開く魔法の杖や呪文が隠されているかもしれないという期待感を抱きながらも、その一方で「物語」は自分を癒すものではなく、逆に「不条理」に責任だけを問われているという不安感と疎外感を強く抱き、「物語」を拒否することで、何とか自己を保とうとしているかのように見える。

 もちろん自分の人生に「主体的でない」という批判はまっ当だが、日本の社会が彼らに「作ってあげた物語」ばかりを提示し、どれ程物語の「創り方」を教えてあげているのか疑問だ。

 関係性の動物であり、社会的存在である人間にとって「創り方」が解らなければ、右往左往するのは当然だ。

 それさえも「自己責任」論で片付けようとする者自身が、社会の先輩として自己の責任を回避しているだけに過ぎないのではなかろうか。自省する必要を感じる。(李東一、団体職員)

[朝鮮新報 2004.11.8]