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暗黒の時代、コメディーで

映画「大統領の理髪師」監督、脚本 イム・チャンサンさん

 1960年代から70年代末までの20年間にわたる朴正煕軍事独裁政権時代を庶民の視点から描いたコメディ映画「大統領の理髪師」を製作。大統領官邸・青瓦台がある孝子洞の町を舞台に、3.15不正選挙、4.19革命、5.16軍事クーデター、ベトナム戦争、大統領射殺といった、重要な政治事件を巧みに配しつつ、感動的で心温まる家族愛のドラマに仕上げた。

 主人公の理髪師ソン・ハンモは、「JSA」「殺人の追憶」に出演したソン・ガンホ、妻のキム・ミンジャは「オアシス」のムン・ソリ、また、人気テレビドラマ「冬のソナタ」にヨングッ役で出演したリュ・スンスが、アメリカに憧れてベトナム戦争に従軍する青年役を演じている。

 監督、脚本はこれがデビュー作。69年生まれで、10歳のときに朴正煕射殺事件が起きた。「子どもたちまで皆、献花をし、女子生徒は訳もわからず涙をこぼしていた」記憶を持つ。

 軍事独裁の重く暗い時代をあえて「笑い」で描いたのは、「忘れられつつある時代、民主化のため犠牲になった方々に少しでも関心をもって欲しかったから」と語る。映画には、電気拷問により足の立たなくなった息子を背負い、父親が凍てつく川を渡るシーンがあるが、これは自身の体験に基づくもの。「田舎のおじいさんの家に行くとき、父親が僕を負ぶって川を渡った」。

 第17回東京国際映画祭では「観客賞」に選ばれた。映画は、新春、東京・渋谷を皮切りに、全国で公開される。

[朝鮮新報 2004.11.9]