top_rogo.gif (16396 bytes)

高麗人参余話(58) 肝臓病

 肝臓は体重の3%程の重さがあるからだの中で一番大きな臓器だ。「沈黙の臓器」とも呼ばれ肝臓の3分の2が損傷しても黙々と働き続けるので病気になっても気がつかない場合が多い。疲労、ストレス、アルコール、タバコなどはさまざまな肝障害を与える。また、ウィルスによる肝炎は深刻で肝硬変や肝臓ガンに進展するケースが多い。

 西洋医学でも肝臓病に効く薬はこれといってない。漢方では慢性肝炎に有効な薬剤として柴胡剤(さいこざい)の代表薬である小柴胡湯(しょうさいことう)を多用する。小柴胡湯(柴胡7、黄岑(おうごん)3、半夏(はんげ)5、人蔘3、大棗3、甘草2)は日本で最もたくさん使われる漢方薬のひとつである。柴胡7に対し人蔘3を加えるので日本における人蔘(400トン、ほぼ全量吉林など中国の安い人蔘を輸入して使用)の最大の需要を産んでいる。

 小柴胡湯の主剤は柴胡(さいこ)と黄岑(おうごん)だが補剤である人蔘や甘草が含まれているためその効果を増大させている。肝胆道障害の改善には小柴胡湯などが用いられるが人蔘にも同じ作用がある。

 山本昌弘(医学博士)氏は(財)日本生命済世会付属日生病院に通院中の63名の慢性肝炎(主としてC型)患者を三つのグループ、@柴胡湯単独投与群(食前に一回2グラムを一日3回)、A紅蔘粉末単独投与群(食前に一回1グラムを一日3回)、B併用群の3群に分け治療の経過を6カ月間観察したところ併用したグループが最も効果があったことを認めた。人蔘のもつ種々内分泌、薬理作用などが柴胡などの複合生薬としての作用をさらに増強し、肝障害改善に寄与する事を明らかにしたのである。紅蔘粉末単独投与でも血清GOT、GPT値の値は投与2、3、6カ月ではっきり低下し、ALP、γ-GTPならびにMAO値も3、6カ月、共に低下したと報告している。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師)

[朝鮮新報 2004.11.12]