高麗人参余話(59) 糖尿病 |
糖尿病に罹るとせっかく食べたものがエネルギーに使えなくなり、エネルギー不足のため疲れやすくなる。手足がしびれたり、毛細血管が障害を受け視力が落ちるだけでなく、尿の量が増えるため水分を欲しがり食欲もすすむ。さらに合併症をおこす難しい病気でもある。治療法としては食事療法や運動療法が大切である。糖尿病治療の要点は血糖値の厳重なコントロールであるがこれが難しい。 昔の人は糖尿病を消渇病と呼んだ。漢方では10数種類の方剤があるが、人蔘を含むものは白虎加人蔘湯(人蔘3、知母5、石膏15、粳米10、甘草2)、小柴胡湯、人蔘湯の3種である。 人蔘は血糖値を下げるばかりでなく過血糖を抑制する「調節機能」も持っている。血糖降下作用が顕著に認められさらに、血糖を下げすぎることもなく、人蔘の服用をやめた後にもその効果を持続する証例が報告されている。とくに合併症の進展を防止するのに役立つと考えられている。人蔘はインシュリンのような合成医薬品にみられる副作用が見られない。人蔘はからだのいろいろな機能を調節するばかりでなく病に罹ったからだの機能を正常化する間接的な治療効果も期待できるが、現代医学治療と併用するのが好ましい。人蔘を食べ過ぎて、インシュリンと併用したからといって血糖が下がりすぎる事もない。 人蔘の坑糖尿病効果について研究した富山医科薬科大学 木村正康教授は「人蔘を摂ることで血糖値が一定に保たれ腎臓や肝臓が守られ、筋肉からグリコーゲンや脂肪が放出することもない。また、脂肪に対しても人蔘がインシュリン同様に作用し、血液中の脂肪酸を下げる事も分かってきた」という。 しかし、インシュリンを体内でつくらず尿中の血糖値が異常に高い若年性糖尿病の場合はそれほど期待できないものの、のどの渇き、疲れ、むくみ等の症状には改善がみられる。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師) [朝鮮新報 2004.11.19] |