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「東洋画の世界」堪能して

「酔画仙」でカンヌ国際映画祭監督賞 林權澤さん

 南朝鮮映画界を代表する巨匠。1936年全羅南道長城生まれ。解放後の混乱を経て、朝鮮戦争中、17歳で家出をする。釜山の国際市場で靴修繕などをしていたが、休戦後の映画ブームでソウルで小道具助手・照明助手など映画製作の下働きをするようになる。

 62年に日本植民地時代の独立軍を描いた「豆満江よさらば」で監督デビューを果たす。以後、100本近い作品を製作している。日本で紹介された作品は、「風の丘を越えて〜西便制」、「太白山脈」、「春香伝」など。来月から東京・神保町の岩波ホールで「酔画仙」が公開される。02年作の「酔画仙」は、天才画家・張承業(1843〜1897)の破天荒な生涯を描いた作品。同年、第55回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。

 「金弘道をはじめ、王の保護下で絵を描いた画家たちとは違い、張承業は自身の絵を売り、『プロ』として生きた。彼は一度は王室に入るものの、自分の意思で王室を出てしまう。張承業に関する記録は多くないが、年代別に変化する作品や、さまざまなエピソードを通じて、画家として熾烈な生涯を送った張承業に共感を覚えた」。家出、芸術、40歳を越えての結婚などは、自身の体験とも重なるようだ。

 「作品を通じて、東洋画の世界を味わってほしい。熾烈に生きた画家の姿がどれほど美しいものかを感じてほしい。1枚1枚の絵をゆっくり鑑賞することはできないが、本編は2時間の大きな『東洋画』といえるほどの仕上りとなっている。カンヌでの高い評価は、大きな励み」と語った。 

[朝鮮新報 2004.11.22]