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高麗人参余話(61) ガン

 ガンはどんどん大きくなるばかりか転移により体の別の場所に移る怖い病気である。人蔘のもつ広範な薬理作用からガン細胞に対する直接作用はともかく、ガン患者のQOL(Quality of life 生活の質)の向上、病状の改善などに有効である事が知られている。人蔘の有効成分サポニンにはたくさんの種類があるがその一部に発ガン抑制および転移や増殖を抑制することがねずみを使った動物実験で確認されている。

 人蔘は患者の自然治癒力を強めて化学療法剤の抗ガン効果を高め、副作用を減らしてがん治療の効果を増す。血栓を予防し溶かしてくれるのでガン組織に薬がよく浸透するようになる。また、外科手術をした場合でも再発の防止、健康回復に有効である。人蔘はガン患者の痛みも和らげてくれる。とくに末期の患者は激しい痛みにさらされるが人蔘は患者の血行をよくして痛みを軽くする。

 一方、放射線治療をする場合、ガン細胞ばかりか白血球も壊されてしまい免疫力が落ちてしまうが、放射線療法を行いながら人蔘を飲むと白血球だけでなく赤血球、血小板なども増やしてくれるので酸素や栄養が体中に行きわたり抵抗力が高まり回復を早める。

 日本の生薬発酵研究所所長 長谷川秀夫氏は高麗人蔘の「ガンへの効果」について焦点を絞って研究に取り組んできたが高麗人蔘の主要成分である「サポニン」が腸内細菌によって代謝されると抗がん剤に匹敵する薬効があることを実験で証明した。私たちの腸内には400種類ほどの細菌が生息しており、その数は100兆個にもなり、その重さは一キロに達する。長谷川氏のグループでは数多くの腸内細菌からサポニンを代謝する最優秀の細菌を見つけるため人間の糞便から各種の腸内細菌の群れ(コロニー)を採取して、試験管の中でサポニンを代謝できるかどうか培養して調べた結果、サポニンを代謝する「プレボテラ・オリス」(Prevotella oris)という腸内細菌を見つけた。この「サポニン代謝物」はがん細胞が増殖・転移していく過程においても効果を発揮し、総合的にがん細胞を攻撃するので、がんに対してたいへん有効な手段になることを検証した。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師)

[朝鮮新報 2004.12.10]