高麗人参余話(62) 不老長寿 |
人蔘を煎じた液を飲むと、まず甘みを、続いて苦味を感じるが、この苦味はサポニンと総称される物質によるもので、石鹸のラテン語Saponから来た言葉である。水に溶かしてもなかなか消えない泡が立つ性質をもつ石鹸のようなものにつけられた名前だ。サポニンは人蔘の滋養強壮作用の重要な有効成分であると考えられている。一般的なサポニンは溶血作用(赤血球破壊作用)、粘膜の刺激、魚毒性など人体に悪い影響を及ぼすが、人蔘サポニンは化学構造のちがいから一般生薬のサポニンとは逆に人体によい影響を及ぼす。人蔘にはサポニン以外にも有効成分が多く含まれていて、今も研究が続けられている。 一方、私たちの体には免疫という自らを守る仕組みが備わっている。この仕組みには切り傷や怪我などしたときに白血球が作用して傷口からバイキンの進入を防ぐ自然免疫と、強力なウィルスなどに対処する獲得免疫の二種類があり、ウィルスのように外から侵入してくる異物に対してリンパ系細胞(B細胞とT細胞からなる)が闘う。外敵に対して、リンパ球は抗体をつくり、再度同じ外敵が侵入しても、その抗体がすぐに対応して処理してしまう。人蔘を飲むとかぜをひかなくなるというのは人の免疫機構が力強く働くようになったということである。人蔘は免疫機構に異常が起こったときに、それを正常化させる力を持っているので自己免疫疾患の人が人蔘を服用すると治りが早い。 秦の始皇帝が紀元前、不老長寿の神薬を求めに方士、徐福を東の三神山に送った故事に見られるように権力と富を一手に収めた皇帝といえどもえられないのが永遠の命である。老化は個人差が大きく、親からもらったからだをいたわり、食事、運動、生活に気を配り、心安らかに生活することが大事である。人蔘を永く服用すれば目が明るくなり長生きできる。(洪南基、神奈川大学理学部非常勤講師) [朝鮮新報 2004.12.17] |