【平壌発＝金明�c記者】平壌で行われる「２００５年学生少年たちの新年の集い」に参加するため、日本各地の朝鮮学校生徒で構成された在日朝鮮学生少年芸術団が４日、現地に到着。５、６日は市内観光、７日から練習に取り組んでいる。１６２人の生徒らは、公演を成功させるため、朝鮮の芸術家らの指導を受けながら連日猛練習を続けている。一方、生活面については何も心配することなく、生徒たちが練習に励み公演を成功させることができるようにと、現地スタッフと宿舎の平壌ホテル従業員らがしっかりとサポートしている。

響きわたる元気な声

日を追うごとに朝鮮舞踊の練習にも熱が入る

　同芸術団の公演タイトルは「愛の力（サランエヒム）」。

　１０月２３日、新潟県中越地方を襲った地震により被害を受けた同胞たちに、祖国から慰問金が送られてきたことと、今年５月に金正日総書記が日本の小泉首相と会談し、在日朝鮮人への差別などが行われないよう約束を取りつけたことなどを踏まえ、祖国の愛と温かさに触れた生徒たちが異国の地日本で民族性を守り、祖国統一のためしっかり学んでいこうと決心する−。

　このような内容の公演を舞台でしっかり表現し、観客に伝えられるよう、生徒たちは平壌市内にある人民文化宮殿で午前、午後の各３時間、声楽、朝鮮舞踊、話術の３つの組に分かれてみっちり練習を積んでいる。

　「祖国の人たちにいい公演を見せたい」。その一心で練習に取り組む生徒たちの姿には、日に日に熱がこもり始めている。

　今回、参加している生徒は初級部５、６年と中級部１〜３年。ほとんどが初めての祖国訪問だ。

　当初は親元を離れて過ごすため、ホームシックにかかり、自宅への電話口でついつい泣き出してしまう子もいたが、今では上級生らの心配りもあってか、安心して楽しい時間を過ごしているようだ。ホテルのロビーや廊下では、歌声や話し声が響きわたり元気な姿が多く見られるようになった。

「必ずいい舞台を」

練習は舞踊、声楽、話術に分かれて行われている（声楽の練習風景）

　話術の組で練習する金勇輝くん（東大阪初級、６年）は、「祖国訪問は初めてで緊張していたが、今はとても楽しい。ホテルの食堂で働く姉さんたちはとても優しく、すぐに打ち解けた。残りの期間、猛練習してすばらしい公演を見せたい」とほほ笑んだ。

　初級部１年から中級部３年までの９年間、朝鮮舞踊を続けている高梨華さん（神奈川初中高、中３）も祖国を訪問するのは初めて。「当日の公演は、みんなの気持ちを一つにして祖国の人たちに必ずいい舞台を披露したい」と意気込む。

　一方、引率で訪れた８人の教員らも今公演を成功させるため、現地スタッフとの打ち合わせと生徒の指導など、忙しい毎日を送っている。

　西東京朝鮮第１初中級学校で舞踊部講師を務める金星華さん（27）は、同芸術団の舞踊指導を担当。祖国での指導は初めてだ。

　「祖国の人たちが情熱を持って接してくれることにとても驚いた。それに応えられるよう生徒と教員らで力を合わせ、いい舞台に仕上げたい」

　金鐘成団長（東大阪初級校長）は、生徒らのモチベーションも徐々に上がり絆も深まっていると、次のように語った。

　「１６２人の生徒たちは、在日生徒の代表としていい舞台を作り上げようと毎日休みなく、必死に練習している。指導にあたっている祖国の芸術家たちは、生徒らのレベルなら当日の公演は必ずうまくいくと言っている。民族教育を受けて育った生徒たちのたくましい姿を見せることができれば」

［朝鮮新報 2004.12.21］