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〈WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ〉 「王者の貫禄」洪昌守

 「応援に駆けつけてくれたみなさんのおかげで勝つことができた。本当にありがとう」―リング上であいさつする洪昌守選手(金沢ジム、29=共和国人民体育人)に、会場に駆けつけた約1000人の同胞応援団からいっそう大きな拍手が送られた。同胞にとっても新年早々ビッグな「お年玉」。「技巧派の最強挑戦者」の異名をとるロシアのディミトリー・キリロフ選手(25)を相手に大差の判定勝ち。洪昌守「長期政権」をほうふつさせるたたかいぶりだった。

 3日に大阪市中央体育館で行われたWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ(12回戦)。王者・洪昌守選手は同級1位のディミトリー・キリロフ選手を3−0の判定で下し、見事8度目の防衛に成功した。

めいに捧げる勝利

 勝者のコールを受けた洪選手。リング上で顔写真を手に、「めいがなくなったんです」と涙ぐんだ。姉の長女が生後5カ月で突然死した。昨年11月8日のことだった。

 「この勝利をめいに捧げたかった」。胸に秘めた決意がしっかりと試合に表れていた。

まったく危なげない試合でV8を達成した洪選手

 「王者の貫禄」

 今回の試合はこの一言に尽きる。

 試合前日の調印式の場で「今までで一番よかったコンディションはタイトルを獲得した時。今回はそれに近いものがある」と語った。その言葉通り、終始多彩なテクニックで相手を上回った。序盤から左ジャブを浴びせ、8Rにはワンツーから右のストレートを何度も顔面にヒットさせた。

 11Rにはこん身の右ストレートがキリロフのあごをとらえた。

 11Rラスト30秒。KOを期待する「イギョラ、イギョラ、ホンチャンス」の同胞応援団のコールの中、ワンツーを浴びせまくった。「最強挑戦者」、キリロフも反撃に転じるが時すでに遅く、その実力を完全に封じ込まれた。ふらつく挑戦者とコーナーで落ち着いた表情の洪選手。誰の目にも勝敗は明らかだった。

 「相手の切れるパンチに1、2R、何度も意識が飛んだ」と振り返ったが、判定3−0の圧勝で3度目の指名試合をものにした。

「やっぱり強い」

洪選手に熱い声援を送った約1000人の同胞ら

 会場に詰めかけた約1000人の同胞応援団から「ホンチャンス」の熱いコール。洪選手も満面の笑顔で両手を挙げ手を振って応える。新年早々、願ってもない勝利の「お年玉」に応援団も興奮しっぱなしだった。

 会場には、「百戦百勝、洪昌守!」「イギョラ、洪昌守」などの横断幕が掲げられ、同胞応援団はおなじみとなったメガホンで声を張り上げ、統一旗を振りかざしながら「ホンチャンス!」を叫び続けた。

 同胞応援団に欠かせないのが迫力あるブラスバンド演奏。大阪吹奏楽団の洪億世団長(30)は、「前評判では負けるかも知れないという噂も流れたが、いざ試合が始まってみるとそれは取越し苦労だった。やっぱり強い。これからも入場シーンを演奏できるよう防衛を続けてほしい」と話す。

 「イギョラ、ホンチャンス」と身を乗り出して声援を送っていた大阪学生会の朴良彬さん(16)と文尚哲(16)さん。「1Rから勝つと確信できた。これから先も防衛を続けて記録を残してほしい。洪選手の試合にはいつも力をもらっている。俺らもがんばらなあかん」と口をそろえた。

 昨年の高校ボクシング全国選抜大会とインターハイのライトウェルター級で2冠を達成した大阪朝高の周太慶選手(高3)は、「やっぱり強い」と一言。「洪選手のボクシングはとてもいい手本になる。これからも勝ち続けて、同胞たちの心に残るボクシングを続けてほしい」と先輩のさらなる活躍に期待を込めた。(金明c記者)

[朝鮮新報 2004.1.8]