〈朝大サッカー部 強さの秘密〉 単位取得以外の生活、サッカーに専念 |
朝鮮大学校サッカー部(金光浩監督)が2日に東京の早稲田大学東伏見グラウンドで行われた総理大臣杯・天皇杯東京都予選(東京都学連主催)Aブロック決勝戦で優勝した。東洋大学を3−2で下した。これによって同大サッカー部は、30日からの関東大学サッカー選手権大会(総理大臣杯の最終予選)、7月に最終予選が行われる天皇杯東京都学生の部の代表権を獲得した。部始まって以来の快挙だ。近年、めきめき実力をつけてきた同大サッカー部。その強さの秘密はどこにあるのか。 ナイター設備も 東京都1部リーグは8校。この中で、Bブロック優勝の早稲田大学とともに東京代表に選ばれた朝大サッカー部。「実力的には関東リーグに上がれる能力があることを裏付けるものだ」と、崔勇海部長は胸を張る。
朝大サッカー部では、2001年度から次のような強化策を講じてきた。 1点目は権利の獲得。01年度に関東大学リーグ及び全国大会への出場権を獲得した。朝鮮大学校は長年、「各種学校」であることを理由に東京都1部リーグへの昇格が制限されてきたが、00年に門戸が開放された。 2点目は環境の整備。グラウンドは整備され、ナイター設備も完備されており、十分な条件のもとで夜間の練習も行われている。また、基礎体力をつけるためのマシーン設備も充実している。寮生活の利点を生かして栄養面でも気配りができる。 3点目は、これが最も重要な点だが、03学年度から体育会制度を導入した。いわばサッカー特設班である。体育会に所属する学生は、単位取得以外の生活をサッカーに専念できる。授業は午前中のみ、それ以外は練習時間にあてられる。 所属する学部はそれぞれ異なるが、希望学部の単位と卒業資格は取得できるよう、勉強の条件は保障される。 強化指定選手に対しては、Jリーグチーム練習生へのあっ旋もしている。 このような条件が整ったのを背景に、昨年からは各地の朝高に出向き、本格的なスカウトに乗り出した。 現在部員は65人。各地の朝高から集まった選りすぐりの学生たちが豊富な練習量と試合数によって、厚い選手層を築いている。 Jリーグに卒業生 同部では、当面の目標と長期目標を以下のように設定している。 当面の目標(3〜5年)は、@関東リーグ2部への進出Aプロ選手(J1、J2、海外)の育成だ。5〜10年のスパンで考える長期目標は、@関東リーグ1部への進出Aプロ選手輩出基地としての地位確立Bサッカー普及の拠点としての地位確立の3点。 すでに、同部の卒業生からは現名古屋グランパスエイト(J1)に鄭容臺選手(00年卒、98年オリンピック朝鮮代表)、現水戸ホーリーホック(J2)に黄学淳選手(99年卒)と、Jリーガーを輩出している。また、アマの最高峰であるJFL(ジャパンフットボールリーグ)の横川電気に金載東選手(01年卒、99年朝鮮A代表)、SC鳥取に河貴大選手(03年卒、02年朝鮮A代表)が所属している。 長期目標のBと関連しては、指導者を育成していくことも含まれる。 「強い選手を育てるためには9〜12歳が最も重要な時期。だからこそ、この間の指導が将来の有望選手を育てるうえで大切になってくる」。崔部長はこう語る。そのため、同部ではサッカー選手だけでなく、各地の朝鮮学校の初級部、中級部生徒たちを育てる有能な指導者育成にも力を入れている。 さらに、教育学部にも02学年度から「サッカー指導法」を導入。日本の指導者資格のプログラムを基礎にしたメニューを取り入れている。JFA(日本サッカー協会)公認の指導者資格取得も奨励しており、10人がD級資格を取得。C級に関しては今年3月に3人を派遣、結果を待っている状態だ。教育学部では在学期間にアジアC級ライセンスへのトライを奨励している。 関東2部は至近距離 こうした強化ビジョンのもとに、関東レベルの公式戦に足を踏み入れた同大サッカー部。来年度からは関東2部への昇格枠が2つから8つに増える。 関東圏での大学サッカーの頂点は関東1部リーグで、2部リーグと続く。それ以外には東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、北関東があるが、この中でも東京都リーグが最も強く、関東リーグ昇格への最短距離を保持しているといえる。朝大の関東2部リーグ進出は至近距離にある。(文聖姫記者) [朝鮮新報 2004.5.20] |