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アテネ五輪に北のコーチとして参加した、在日同胞体育関係者の感想

 8月のアテネ五輪開幕式で共同入場を果たし、「朝鮮は一つ」を世界にアピールした北と南の選手団。期間中、北側のコーチとして、在日本朝鮮人ボクシング協会の李学宰副会長、在日朝鮮人体育連合会の「光幸副会長(埼玉体育協会会長)、在日本朝鮮人柔道協会の玄昌貴会長の3氏が在日同胞関係者として現地に赴いた。「北と南は一つのチームのようだった」と感想を述べた。

強く実感した統一の雰囲気

再会を抱き合って喜ぶ北と南の卓球選手ら。この後、合同練習が行なわれた [写真=聯合ニュース]

 3氏は、アテネの選手村で北の選手団と一緒に過ごしながら競技に臨む選手をサポートした。

 その間、北と南の関係が良好に発展していることをあらためて実感したという。

 北の宿舎には南のスポーツ関係者がよく訪ね、両者は統一チームの構成、合同練習問題など、今後を含めたスポーツ分野での交流、協力事業について話し合ったという。

 2008年の北京五輪での統一チーム構成問題は双方五輪委員会の会合で原則合意している問題だが、その場では、一足早い06年の冬季五輪での統一チーム構成が話し合われた。

 また、双方選手らの雰囲気も大きく変わったという。

ボクシング57キロ級銀メダルのキム・ソングク選手と李学宰副会長

 「副会長は、00年のシドニー五輪、02年の釜山アジア大会など数々の大会に赴いた経験を持っている。が、今回はさらに北南選手らの親密ぶりが目についたという。

 「とくに、北の選手が積極的に南の選手に話しかけていたことが印象に残った。雰囲気はとても良かった」

 また、会場では南の応援団が北の選手を励ます声援が鳴り止まず、選手らも双方を一生懸命応援していたという。

 一方、李副会長は、控え室での話を紹介しながら、「北と南の選手らは兄弟のように仲が良く、対戦相手に関する情報交換もしていた。以前も情報交換していなかったわけではないが、6.15共同宣言からの4年間で大きく変わった。北と南はすでに1つのチームのようだった」と述べた。

北京五輪で念願の金メダルを

女子マラソンのハム・ボンシル選手(右から2番目)、コーチらとともに(左端、「光幸副会長)

 今大会で北の選手らは4つの銀、1つの銅メダルを獲得した。

 金メダルがなかったことにもの足りなさは残るが、関係者らはすでに北京大会に向けて決意を新たにしている。

 李副会長は、朝鮮選手のボクシング57キロ級銀メダル獲得を評価しながらも、銀にとどまった敗因を力負けと指摘しながら、「朝鮮選手のスタイルは主にアウトボクシングだが、パワーをつけることが課題。当面は来年9月の世界選手権大会に向けて課題をクリアできれば」と語った。

 また、国内予選のベスト4に入った選手らの実力差はほとんどないと、層の厚い北のボクシング事情について言及しながら、一方で「在日の選手も育てたい」と意欲を見せた。

 マラソンのハム・ボンシル選手は、釜山アジア大会女子マラソンで「副会長がプレゼントしたシューズを履いて優勝した。

 今回も「副会長は、優勝した日本の野口みづき選手が着用していたモデルとまったく同じシューズを持って行き、事前に調べたコースの特徴などの資料とともに北側に提供したが、結果は伴わなかった。

 「目標はあくまでもオリンピックでのマラソン金メダル。夢はまだ終わっていない。これから選手らと共に金メダル獲得を目指していく」

 また、「北の選手の足型はとってあり、いつでもシューズを作って送れる状態にある」と付け加えた。

 ちなみに、大きな期待のかかっていた女子柔道57キロ級のケ・スニ選手は、今大会で金メダルを獲得し、それを花道に引退する意向だったが撤回。北京オリンピックで必ず金メダルを獲得すると決意を新たにしていたという。

 今後、北南統一チームの構成と北南朝鮮選手らのさらなる活躍に期待したい。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2004.9.11]