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〈AFC・U−17サッカー選手権〉 2位の朝鮮に大会関係者ら、今後を注目

 U−17アジアサッカー選手権大会で準優勝した朝鮮代表。大会関係者らの評価も高く、朝鮮のユース世代の今後が注目される舞台となった。選手、監督、関係者らの話をまとめた。(文=金明c、写真=盧琴順記者)

「抜群の組織力とバランス」、シャム・スンダー・ゴーシュ氏(AFCプレスオフィサー)

 今大会、朝鮮代表チームはとてもすばらしい試合を見せてくれた。過去6回、ジャーナリストとしてワールドカップを取材し、24年間いろいろなサッカーを見てきたが、これだけバランスの取れたチームと出会う事は少ない。選手個々人の技術もさることながら、組織力が抜群にいい。これは監督、コーチ陣の指導によるところが大きい。他国の監督らも一様に朝鮮の実力を認めていた。マレーシア代表のブラジル人監督も「(参加した16カ国中)朝鮮が一番強い」と話していた。来年の世界選手権でも楽しいサッカーを見せてくれることを願っている。

U−20並みの実力ある、南、カタール監督

 準々決勝の相手 南朝鮮代表のロベルト・アルベルツ監督(オランダ)

 「とにかく組織力があり、われわれとの試合では終始北がリードし、チャンスも多かった。プレーした一人ひとりが印象的だ」

 準決勝の相手 カタール代表のマルティネス・ヨハネス・マリア・ルイース監督(オランダ)

 「パワー、スピード、フィジカルなどすべてにおいて優っていた。試合では守りを固めるしかできなかった。ブラジルなど、強豪との試合では何度もチャンスを作れた。しかし朝鮮との試合では一度しか作れなかった。こんなことは初めてだ。U−20並みの実力があると思う」

「強化第一、世界に目を」、パク・フィサム監督

 1966年のサッカーワールドカップ・イングランド大会。朝鮮代表は1次予選でイタリアを1−0で破り、ベスト8進出を果たした。その時の得点者はパク・トゥイク選手。今回、U−17朝鮮代表を率いたパク・フィサム監督(41、月尾島体育団サッカー監督)の父である。

 幼い頃から父の背中を見てサッカーボールを蹴った。朝鮮がワールドッカップでベスト8に進出した当時、朝鮮ではサッカー熱が異常なほど盛り上がりを見せた。

 それは「サッカーをしなければ男とみなされない」と言われるほどで、国民全体の意識がそうだった。

 そんな環境の中、パク監督も当然のようにサッカー選手を目指した。現在、息子もサッカーをしており、家庭でもつねにサッカーの話が飛び交うという。

 「振り返れば国のサッカーを強くすることが家の使命のようになっていた」

 選手生活を終えた後もサッカーに携わりたいという思いから、指導者になることを心に決めた。父のアドバイスも受けながら、低迷する朝鮮サッカーの復活を胸に、サッカーの理論や指導方法を学んだ。アジアサッカー連盟・B級ライセンスを取得して現在に至る。

 「世界と対等に戦うにはユース世代の強化が第一だ。世界のサッカーのすう勢を知り、それに合わせて一つ一つ実践していくことが現在の朝鮮サッカーにも求められている。国際大会にも数多く参加し、経験を積んでいくことで課題を克服していきたい。指導の楽しさは選手と呼吸がぴったり合った時ですね」と屈託のない笑顔を見せる。

 笑顔の裏に秘められた熱き思いは計り知れない。その目はしっかりと世界を見据えている。

「五輪代表を目標に」、チョン・グァンイク選手(主将、16)

 左サイドバック。ディフェンスの柱となってチームを統率。ゲームの流れを読む的確な状況判断と1対1の強さが光った。

 国際大会に参加するのは初めてだ。選手たちを率いて1戦1戦を勝利する気持ちで戦ってきた。

 一にも二にも「一心団結の精神」で団結した力を試合で発揮することを心がけてきた。試合を振り返ってみると、多少緊張し興奮していたせいで、試合の流れをうまくつかみ切れない部分もあった。

 しかし、多くの在日同胞と朝鮮学校生徒らの応援が本当に大きな力になった。

 静岡初中を訪問した時も歓迎を受けたし、「がんばれ」と声をかけられるたび、その期待に応えなければと感じた。

 今回の成績に満足せず、もっともっと朝鮮のサッカーが強くなるように練習に励みたい。4年後の北京オリンピックには必ず代表に選ばれるよう努力していきたい。

今大会、2ゴール、パク・チョルミン選手(15、FW)

 今大会、2ゴールを決め、常に得点チャンスに絡んだ。南朝鮮との準々決勝では会場がどよめくほどのスーパーゴールを決めた。

 「7歳からサッカーを始めた。好きなサッカー選手はブラジル代表のロナウド選手。海外で試合をするとあってとても緊張したが、同胞の応援がとても力になったし、今回の結果にこぎつけることができた」

代表のエース、リ・フンリョン選手(15、FW)

 団長、監督がその実力を認める朝鮮代表のエース。今大会は得点こそなかったが、スピードあるドリブルとテクニックは関係者らの注目を集めた。カタール戦で足首をケガし前半で退場。決勝戦には出場できなかったが、その雪辱を来年の世界選手権で果たす。

 「同胞たちの応援が祖国で試合をしているような感じを与えてくれたので、伸び伸びとプレーできた。全試合を振り返ってみると戦術的にも精神的にもわれわれが上回っていると感じた。とにかく監督、コーチ、選手ら全員で勝ち取った勝利だ。サッカーを始めたのは7歳からで、好きな選手はチョルミンと同じくロナウド選手だ」

中盤でゲーム統率、リ・チョルミン選手(16、MF)

 屈託のない笑顔が印象的で冗談が大好き。中盤の底でゲームを統率し、サイドチェンジや鋭いパスを前線へ送りこむ。チーム内で一番ボールタッチが多かった。

 「日本に来て最初はとても緊張していたけど、在日同胞らの応援でそんなのもすぐに吹き飛んだ。チームと同胞たちが気持ちを一つにして戦った結果、勝つことができた。とにかく今は本当にうれしい。今後、もっと国際舞台で活躍して有名な選手になりたい。好きな選手はイングランド代表のベッカム」

在日同胞選手も参加、中大阪初中高成勲選手、東京第4初中蒋基栄選手

 大会期間、代表の一員として朝鮮選手らと生活を共にした2人の在日同胞選手がいる。中大阪朝鮮初中の高成勲選手(中3)と東京朝鮮第4初中の蒋基栄選手(中3)。

 彼らは8月10〜24日に平壌で行われた代表合宿で初めて選手たちと顔をあわせた。試合には出場できなかったものの、朝鮮選手らと過ごした日々にひと回り大きく成長したようだ。

 自分たちのレベルがそれでも高い方だと思っていたが、選手たちと過ごし大会に参加する過程でまだまだ実力の高い選手らがいることを実感したという。

 「サッカーに対する熱意が普通じゃない。試合ではひとつの局面を打開する判断や技術がとても高いと感じた。闘志と精神力もすごい。私生活でもみんなが気を使ってくれてとても楽しく過ごせた。ここでの経験を今後に生かしていきたい」(高選手)

 「朝鮮の選手たちは国家代表で来ているという気持ちが強く、命がけでサッカーをしていることを肌で感じた。サッカーに対してとてもハングリーだ。将来は自分も同胞たちの声援を受けて代表として試合に出たいという気持ちが強くなった」(蒋選手)

[朝鮮新報 2004.9.22]