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〈日本スポーツマスターズ サッカー競技〉 高麗SC、初優勝

 日本スポーツマスターズ2004サッカー競技(財団法人・日本サッカー協会など主催)が9月23〜26日、福島県のJビレッジで行われ、高麗サッカークラブ(呉泰栄会長、以下高麗SC)が念願の初優勝を果たした。大会には全国各地域の予選を勝ち抜いた16チームが参加し、熱戦を繰り広げた。並みいる強豪を相手に高い技術と組織力を発揮した高麗SC。朴良一監督(49)は、「チーム一丸となって勝ち取った勝利。これを機に在日同胞スポーツ界にいい影響を与えていきたい」と語る。(文=金明c、写真=盧琴順記者)

「2年前の雪辱を」

手をあげて喜ぶ高麗SCのメンバー

 高麗SCは、関東地方に在住する40歳以上のメンバーで構成された在日同胞シニアチーム。結成20年の歴史と伝統を誇る。

 同大会には2年ぶり2回目の出場。東京都大会、関東大会で優勝し今大会に駒を進めた。02年度の成績は3位、昨年は関東大会で惜しくも敗れ全国大会出場を逃した。

 23〜25日の予選リーグAグループで高麗SCは、シニア岡山FC(岡山県)を2−1、FC高網ハローズ(長野県)を2−0で下した。予選リーグ最終戦の相手、羊ヶ丘オールドキッカーズ2002(北海道)には0−0で引き分け、1位で予選を突破した。

 26日の準決勝の相手は昨年2位の強豪、福島レジェンド(福島県)。前後半戦でも0−0と決着がつかず、勝負はPK戦へ。高麗SCのゴールキーパ―・金永貴選手(41)が2本のシュートを止める活躍で4−3で勝利した。

相手ゴールに向かってドリブル突破する会長の呉泰栄選手

 念願の決勝戦進出。全国制覇まであと一勝と迫った。「自分たちは東京都代表でもあり、在日同胞の代表。死に物狂いで戦おう」。

 朝高サッカー部時代を彷彿させる気迫のこもったアボジたちの表情。

 決勝戦は、終始高麗SCのペースで進み、中盤でしっかりとボールをつないで再三チャンスを作った。

 前半18分、左サイドでボールをもらった呉泰栄選手(50)がセンタリング。ゴール中央でボールを待つ夏文煥選手(42)がヘディングでゴールを決めた。

 前半を1−0で折り返し、後半戦もバランスのいい攻守をみせ、そのまま逃げ切って勝利を手にした。朴監督を胴上げし、ベンチで抱き合う選手ら。応援にきた家族たちも感激の涙を流していた。

注目されるチームに

 「今年こそ必ず全国制覇を」。雪辱に燃える高麗SCのメンバーらの今大会に賭ける意気込みは並大抵ではなかった。

 李英主将(48)は「今回が最後のチャンスという気持ちで臨んだ」と話す。それもそのはず、平均年齢は47歳。ピークを越えての出場はやはりきつい。来年、再来年の挑戦となると年齢も上がり、体力も衰えるとあって厳しい戦いを強いられるのは必至だ。

 1年を通してコンスタントに試合に出られるアボジたちも限られている。仕事や家庭の事情などで参加できないのが理由だ。

 「練習できるわけではないので、試合のケガで戦線を離脱するメンバーもいて自己管理がとても難しい。でもここまで来れたのは、みんなサッカーが好きで朝高時代の思いを胸にしっかりと秘めているから」(李主将)

 メンバーの中には朝鮮高級学校サッカー部が全盛を極めた70年代、「幻の日本一」と呼ばれた東京朝高サッカー部出身の選手もいる。日本の公式戦に出られず苦汁をなめた思いを少しは晴らせたかもしれない。

 呉会長は、「この大会で優勝することを目標に努力してきた。今後も高麗SCの強化のために後輩たちをしっかり育てていきたい」と感慨深い様子だった。

 朴監督は、「これで一つのブランドができた。日本の大会で在日同胞チームが優勝することの意義は小さくない。自分たちの存在を知ってもらうためにもプレー、精神面でもっと成長し注目されるチーム作りをしていきたい。とにかくがんばった選手たちに感謝したい」とほほえんだ。

[朝鮮新報 2004.9.30]