朝鮮選手権サッカー大会、着実に厚くなる選手層 |
【平壌発=文・姜イルク記者、写真・学友書房権理華記者】朝鮮男子サッカーチームの2006年W杯アジア最終予選進出が決まるなど、サッカーの話題で盛り上がる中、10月12〜26日まで金日成競技場で朝鮮選手権大会のサッカー競技が行われた。国内3大大会の一つである同大会は、万景台賞(4月)、普天堡たいまつ賞(6月)についで行われ、年間を総括する意味合いを持つ重要な大会として位置づけられている。選手らにとっては、国家代表チームに編入される大きなチャンスでもある。地方予選を通過した12チームの間で繰り広げられた熱戦を通じて、朝鮮男子サッカーの層が着実に厚くなりつつあることを実感した。 4.25は二軍出場 今大会には、清津、咸興、沙里院、海州の4つの都市で行われた予選リーグ(9月)の上位3チーム、計12チームが参加した。2組に分かれてリーグ戦を行い、リーグ1、2位のチームが決勝トーナメントに進出した。
毎年好成績を残してきた4.25体育団からは今回、2軍が出場した。4.25体育団を母体に構成されているナショナルチームがW杯予選に出場しているためだ。今回は、リーグ予選で3位にとどまり、決勝トーナメントにも進出できなかった。 リーグ1、2位を占めたのは、第1組が鯉明水と機関車、第2組が平壌と鴨緑江。これら実績のあるチームが上位を占めたことは、関係者の中ではある程度予想できたという。しかし、決勝戦進出を果たしたのが平壌と鴨緑江だったことは、意外だったようだ。大接戦の末の結果だ。 経済的試練が襲った90年代、国際試合出場数も減り、サッカーをはじめとする朝鮮スポーツ界全体が衰退したが、サッカー界は「強豪朝鮮の復活」をスローガンに90年代末から立てなおしをはかり、最近その成果が芽生えつつある。 関係者は、各チームの実力が高い水準で拮抗し、また、チームの特色がはっきりしてきたと説明しながら、「年ごとに実力が向上していることを実感する」「これから国際大会でさらに大きな成果に結びつくだろう」と語っていた。 未来のホープ誕生
競技が行われた金日成競技場には、未来の国家代表選手になることを夢見るちびっこファンの姿もあった。彼らは市内各区域にあるクラブチームのメンバーだという。朝鮮でも学校のクラブ以外に、もっと上を目指すちびっこらのためにクラブチームがあり、休みの日や課外授業の日に通っている。優秀な生徒らは学校卒業後、体育団に入団することになる。 男女決勝戦と3位決定戦の計4試合が行われたのは、26日午前9時から。ウィークデーとあって競技場のスタンドは、人びとで埋め尽くされることはなかったが、関係者と報道関係、定年退職者を中心としたサッカーファンが多かった。 主催者側は観客の動員はしていない。そもそも選手権は、選手らの実力向上と国家代表選手の発掘を目的としている。競技の全日程が終了した後、関係者と専門家らの投票によって10人の最優秀選手を選び、さらにその中から実力が認められた選手らを国家選手として引き抜くことになる。 注目の男子決勝戦。専門家の間では、「技術の平壌」と「力の鴨緑江」の激突と言われ、その結果に興味が注がれていた。空中戦では鴨緑江がまさったが、パスを正確につなげた平壌が結局3−1で勝利した。 競技終了直後、選手らに胴上げされた監督は、「われわれの使命は国家代表選手をたくさん送り出すこと。これからも人民の期待に応えられるいい選手を育てていきたい」と話した。 [朝鮮新報 2004.11.6] |