〈全国高校ラグビー大阪府予選第2地区決勝〉 大阪朝高 2年連続全国大会へ |
ロスタイムに劇的なトライ、関西創価高校くだす 大阪朝鮮高級学校ラグビー部が14日、近鉄花園ラグビー場で行われた第84回全国高校ラグビー選手権大阪府予選第2地区決勝で、関西創価高等学校を試合終了間際、ロスタイムの劇的な逆転トライで下し優勝。2年連続全国大会出場権をものにした。(文=李泰鎬、写真=姜鐘錫記者) シーソーゲームも「絶対に勝てる」
金信男監督が「ハラハラ、ドキドキだった」と振り返った試合は、両者合わせて5回という逆転につぐ逆転のシーソーゲームになった。モール攻撃で攻める大阪朝高に対して、タテの突破を図る関西創価。両者、前半に2トライずつ奪うが、14−12で関西創価がリードして折り返した。 集中力とフォワードのパワーで勝る大阪朝高は、後半に2度逆転するも、27分、関西創価に3度目のリードを許した。 観客席には一度、あきらめムードがただよいかけたが、気迫あふれる大阪朝高は、リードされたにもかかわらず落ち着いて攻め込んだ。 そして、4点差を追うノーサイド直前のロスタイム、中央ゴール前5メートルのラックから右サイドに回ったパスを、右ウイングの夫太洲選手(3年)が右隅に奇跡のトライ。劇的な逆転勝利を飾った。
喜びを体中で表現する選手たちを、スタンドで声援を送った大阪朝高応援団が大歓声で迎えた。感動の決着にスタンドは涙であふれかえった。 「心臓が飛び出しそう」な試合展開にもあわてることなく「奇跡」を演出した選手たち。「残り3分あったので逆転できると思った」と口をそろえた。 金監督は「逆転されたときを想定した練習を何度もこなしてきた。われわれにできることは同胞たちに力を与え、勇気づけること。そのためにチームが一つになって最後までよく戦った」と選手たちを称えた。 「奇跡のトライ」を決めた夫選手は「(逆転されたが)絶対に勝てると思っていた。トライした瞬間は頭の中が真っ白になった」と語った。 関西創価の大澤秀樹監督は、「朝高の執念がすごかった」と感想を述べた。 学年の垣根越え、信頼し合って一つに 今年の大阪朝高ラグビー部は、より団結力を高め、チームが一つになって戦うことを目指してきた。「一つ・信頼・勝利」を合言葉に、1年生から3年生まで学年の垣根を越え、お互いの信頼関係を築くため、「コミュニケーション合宿」も行った。その成果として現れた「奇跡のトライ」も、選手たちからすれば「当然のトライ」だった。
河勇吉主将(3年)は「合宿で選手同士の信頼が深まった。最後まで自分たちの力を信じて戦った結果だ」と力強く語った。 けが人が出るなど、満身創痍だった大阪朝高。メンバーの半分を1、2年生が占めたが、彼らの活躍も光った。 スタンドオフの文建治選手(2年)は「ケガした先輩が出られない分、ポジションを奪う気持ちで一生懸命やった。ラグビーが楽しくなった」。 出場選手中、唯一の1年生の金誠太選手は、朝高ラグビー部での全国制覇を目指し、小1からラグビーを始めた。「最後まであきらめなかった。同胞や同級生たちの声援が後押ししてくれた。とても力になった」。 目標は全国制覇「精度の高いラグビーを」
「昨年、花園に置き忘れたものを取り戻す。全員で戦うチームを作り、全国制覇を目指してがんばりたい」(河主将) 喜びも束の間、選手たちの気持ちは全国大会に照準を合わせていた。 鄭貴弘副主将(3年)は「全国大会ではもっと強 い朝高ラグビーを同胞たちに見せたい」と気を引 き締めた。 金監督は「ひたむきで地道で精度の高いラグビーをやりたい。在日同胞代表、大阪代表に恥じない試合をし、全国制覇をめざしたい」と決意を述べた。 全国大会は、12月27日から近鉄花園ラグビー場で行われる。 「最高の試合」応援団も涙 大声援を送り続けた朝高応援団の中には、ラグビー部父母、OB後援会をはじめとした同胞たちの姿もあった。 後援会の安公栄会長(安柄修選手のアボジ)は「選手、父母らが一つになった最高の試合。絶対勝ってくれると信じていた」。成道慶さん(成柄文選手のアボジ)は「どっちが勝ってもおかしくない展開だったが、最後は朝高生の誇りと気合を見せてもらった」と涙ながらに語った。 大阪朝高の兪基奉校長は「選手たちは、本当によくがんばった。団結力、闘志、同胞たちの期待に応えようという強い思いを見せてくれた」と感無量の様子だった。 [朝鮮新報 2004.11.16] |