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IFBAバンタム級王者 キム・グァンオク選手「これからも勝ち続ける」

 【平壌発=姜イルク記者】さる10月29日、中国・瀋陽で行われた国際女子ボクシング協会(IFBA)バンタム級タイトルマッチで日本の選手をTKOで破り、王者に輝いた朝鮮のキム・グァンオク選手(26、中央体育学院所属)。今後の抱負について「これからも勝ち続ける」と強気に語った。

最後の力振り絞り

IFBAバンタム級王者のキム・グァンオク選手

 IFBAバンタム級にタイトル保持者がいない状況で、今回、ランク上位のキム・グァンオク選手と日本の須賀寿江選手が対戦し、勝者がタイトルを手にすることになっていた。

 キム選手がこれまで制した国内大会は、「数え切れない」。国際大会でも、昨年の第2回アジア女子ボクシング選手権大会50キロ級で1位に輝いた。アマチュア時代はこれまで29戦して、ボクシング開始当初の2敗しかしていないという実力の持ち主だ。

 しかし、3ラウンド制のアマチュア競技と違って、プロのタイトルマッチは10回戦を戦わなければならない。キム選手は、国内で8回戦の試合を体験したことはあるが、10回戦は今回が初めて。試合中、とくに6Rあたりからがつらかったという。

 「日本の選手には絶対負けられないという気持ちでいっぱいだった。自分がつらいということは相手もつらい、気持ちで負けたらいけないと自分に言い聞かせた。瀋陽の朝鮮代表部役員や企業の職員らの声援が大きな力になった」

 そして9R、最後の力を振り絞り連打を浴びせ、36秒TKO勝利した。

まずオモニに勝利報告

 キム選手が瀋陽から平壌に戻ってきたのは11月2日。まず、故郷にいるオモニに勝利の報告をしたという。

 「ひとり娘なので、とても心配している…」

 キム選手は、咸鏡南道興南市の労働者の家庭で末っ子のひとり娘として生まれ育った。2人の兄の影響を大きく受け、女の子らしく育つことを願う両親の意向とは反対に、幼い頃からとても活発で、男の子がする遊びやスポーツを好んでしたという。中学校5年からは、サッカーのクラブチームに。卒業後はテコンドーを始めた。それから1年が経とうとしたときの96年、朝鮮ボクシング協会からの誘いでボクシングの道を歩んだ。

 「スポーツがしたいという単純な気持ちでボクシングを始めた。しかしオモニは、ボクシングをすると告げたとき、気絶するほど驚いた。女の子はものを蹴るものではないと、サッカーも猛反対するくらいだった」

 しかし今は、娘の活躍を喜んでくれ、これからも頑張れと激励してくれたそうだ。

洪昌守選手

 スポーツ刈りのキム選手は、小柄な男性と勘違いされるくらい。

 監督のキム・ソンナムさん(49)はキム選手について、男勝りの根性があり、「速度、パワーと非凡なセンスを備えている」と評する。また、練習好きな性格がさらにその才能を開花させていると話す。拳にできた大きなマメは、パワーと練習量を物語っている。

 キム選手は、とりあえずはアジアを制することを目標にボクシングに励んだというが、実際にアジア選手権を手にした後は、洪昌守選手のように王者として長期君臨し、朝鮮人民に喜びと希望を与えることを夢見たという。王者になった今の抱負は、洪昌守選手のように勝ち続けること。

 洪昌守選手は01年の夏、祖国を訪問したことがある。その期間には、朝鮮の数十人の男女ボクシング選手らとの交流会も催されたが、キム選手はこの交流会に参加できなかった。

 キム選手は、洪昌守選手との交流会に参加したほかの体育団所属の選手らから、チャンピオンになるまでの話を聞いたり、歌や踊りも一緒にしながらとても楽しかったという話を何度も聞いたという。「とても残念。ぜひ会いたかった」。

 インタビュー時、「これからも負ける気は全然しない」など、終始強気に語るキム選手。表情もなかなかくずさないキム選手だったが、「洪昌守選手みたいな男性はタイプ?」という質問には、愛らしい笑みがこぼれた。

[朝鮮新報 2004.11.19]