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〈第15回国際アマチュア・ペア囲碁選手権〉 朝鮮代表が頂点に、並いる強豪相手に冷静沈着な手光る

 囲碁のアマチュア・ペア世界最強位を決める第15回国際アマチュア・ペア囲碁選手権大会(主催=恣本ペア囲碁協会、国際アマチュア・ペア囲碁選手権実行委員会)が13、14の両日、都内のホテルで行われ、朝鮮代表のチョ・セッピョル、リ・ポンイル組が5戦全勝の成績で優勝し、頂点にたった。同大会で朝鮮代表が優勝したのは4年ぶり2回目。優勝した朝鮮ペアには、大会のトロフィーと優勝盾のほか、小泉純一郎首相名義の内閣総理大臣賞状と町村信孝外務大臣名義の外務大臣賞状が授与された。朝鮮代表一行は15日、東京都千代田区の総連中央本部を表敬訪問し、徐萬述議長ら職員たちから祝福を受けた。大会では南朝鮮代表が2位に入賞した。(文=千貴裕記者、写真=文光善記者)

チョ・セッピョル、リ・ポンイル呼吸ピッタリ 5戦全勝の完勝劇

優勝カップと盾を手に喜ぶ朝鮮のチョ・セッピョル、リ・ポンイルペア

 今大会には、世界22の国と地域の代表(主催国の日本は11組出場)32組が出場し、2日間スイス方式5回戦で勝敗を競った。

 朝鮮を代表して出場したのはチョ・セッピョル(22、韓徳銖軽工業大学博士院生)、リ・ポンイル(24、金亨稷師範大学博士院生)の若手ペア。チョさんは、98年世界女流アマチュア選手権準優勝の実力者。また、リさんも99、02年の世界アマチュア選手権大会に朝鮮代表として出場し、99年大会では3位に入賞した強者だ。ともにアマ7段の力を持つ。

 朝鮮代表は1回戦でネパール代表を黒番中押しで、2回戦で日本・関東甲信越代表を白番2目半、3回戦、日本・四国代表を白番中押しで、4回戦、日本・近畿代表を黒番7目半で退け優勝決定戦へと駒を進めた。

 全勝同士の対決となった南朝鮮代表(金志恩、河成奉)との決戦で朝鮮ペア(白番)は、序盤から中盤にかけて相手の弱い石を攻めたて試合を優勢に運び、204手まで中押し勝ちした。

 優勝が決まった瞬間、顔色を紅潮させたリ・ポンイルさんは、「金正日総書記に勝利の報告をすることができて本当にうれしい。この次は個人戦の世界選手権で優勝したい」と抱負を語った。

 また、チョ・セッピョルさんは、「本当に信じられない。祖国の名声を轟かせることができ光栄に感じる。98年の女流アマチュア大会での雪辱を晴らせた」と喜びを語った。

プロ協会できれば他国の脅威に

南朝鮮代表との全勝対決を制した朝鮮代表(右)

 99年までの同大会には、在日本朝鮮人囲碁協会所属の同胞選手が朝鮮の任意代表として参加した。本国の選手たちが本格参戦したのは2000年。その年の大会で初優勝(クォン・ミヒョン、リム・ヒョンチョル組)を遂げ、周囲を驚かせた。しかし、01年は5位、02年は3位(03年は出場せず)と振るわなかった。

 なぜなら、中国、南朝鮮、日本にプロ棋士が所属する囲碁のプロ協会があるのと違い、朝鮮にはプロ協会がないからだ。アマチュアがその国のトップレベルという環境では、世界を相手にトップに立つのは至難の業だ。

 そんな中、朝鮮のアマチュアたちは、各国で発刊されている囲碁の書籍や、定期的に中国棋院所属のプロを招いての講習会などを通じて着実に腕を磨いた。

 他国の恵まれた環境に比べ、決して満足した条件が満たされていない中での今大会の朝鮮ペアの優勝は価値が高いといえよう。

 事実、大会の優勝決定戦の模様は日本のプロ棋士による大盤解説会で紹介されたが、解説を担当した石田芳夫九段は、朝鮮代表の着手に対し再三にわたり「感じのいい打ちまわし、丁寧な着手」と語り、「この対局は朝鮮ペアの完勝の碁。詳しい事情はよく知らないが、(朝鮮は)相当な実力を持っている。同国には現在プロ協会がないが、もし結成されたら他国にとって脅威となるだろう」とその強さを誉めたてた。

盛んな国内大会積極的に普及

 近年、朝鮮では囲碁が民俗競技と定義づけられ、平壌囲碁院の開設(00年4月)、幼稚園児、小学生らを対象にした囲碁授業に積極的に取り組むなど、普及が盛んだ。

 国内の囲碁大会も盛んに行われ、89年9月に朝鮮囲碁協会が結成された後、約30〜40人のアマチュアたちが年5〜6回の大会を通じて切磋琢磨している。

 在日本朝鮮人囲碁協会の関係者によると、「朝鮮のアマチュアレベルは一般のプロに比べると1.5目(逆コミ)は劣る」というが、プロ協会ができればその強さは未知数という。

 「今大会の優勝は、同胞囲碁愛好家たちに希望と力を与えてくれた」と話す同協会の具快萬会長と李文炯理事長は、「朝鮮にプロ協会はないが、朝鮮の優秀なアマチュアたちがプロになれるよう協会として手助けしていきたい」と抱負を語った。

 【大会成績】 優勝=朝鮮(チョ・セッピョル、リ・ポンイル)、2位=南朝鮮(金志恩、河成奉)、3位=日本・関東甲信越(平岡由里子、平岡聡)

[朝鮮新報 2004.11.22]