阪神・淡路大震災１０周年追悼集会が１６日、神戸市の神戸朝鮮初中級学校で行われ、総聯中央の許宗萬責任副議長、総聯兵庫県本部の李文伊委員長、総聯新潟県本部の李主�R委員長をはじめ、県下同胞ら４１０余人が参加した。また、会場には震災当時の様子を記録した写真も展示された。２部では文芸同兵庫文学部の公演「神戸の夜空に」が行われた。

同胞犠牲者の霊前に献花する参加者ら

　１部の追悼集会では開会宣言に続き霊前のローソクに火が灯された後、同胞犠牲者を追悼し１分間の黙とうが行われた。

　続いて李文伊委員長が追悼の辞を述べた。李委員長はまず、１９９５年の１月１７日早朝、阪神・淡路地域を襲った大地震により亡くなった同胞らのめい福を祈り、愛する家族、親せきらを亡くした遺族らに深い哀悼の意を表した。

　また、大震災による同胞死亡者は１２１人、負傷者は１５００余人、家屋被害は１９９０戸、４５００人以上の同胞らが避難生活を送ったと述べた。そしてこの不安な状況のもと、金正日総書記が慰問金を送ってくれたこと、総聯中央と日本全国の同胞らの救援活動が力になり、新たな生活の基盤を築きあげ、ウリハッキョの再建事業に取り組むことができたと強調した。

　最後に、１０周年を機にこれからもより強い組織を作り上げ、同胞の生活と権利を守り、民族教育事業発展のためにすべての力を注いでいくとの決意を述べた。

　井戸敏三・兵庫県知事、矢田立郎・神戸市長、総聯東京都本部常任委員会から送られてきた追悼文が紹介された後、家族・親せきらを亡くした遺族、許宗萬責任副議長をはじめ参加者全員が霊前に献花した。

文芸同兵庫が公演「失ったものは多いが、同胞の大切さなど得たものも大きい」

文芸同兵庫による公演「神戸の夜空に」

　２部では文芸同兵庫文学部の公演「神戸の夜空に」が行われた。公演は震災被害を受けた同胞らが復興に向けて立ち上がる姿を、映像を織り交ぜながら描いた。

　映像では仮設の学校、通学バスの中で必死に勉強する生徒らの姿、亡くなった友だちの写真を手にして迎えた卒業式、新校舎設立の様子、救援物資を届ける同胞青年や炊き出しに出向く同胞、日本人らの姿などが映し出され、観客らは当時を思い起こし涙とともに見入っていた。

　出演者らは、「震災で失ったものは多いが得たものも大きい。それはハッキョ、組織、同胞の大切さだ」と観客らに訴えた。

　女性同盟東神戸支部の李命順顧問（85）は、「とにかく民族と組織がなければならないということを、１０年を振り返って再確認した」と語る。

　「１０周年を機に同胞らの前でできることをしようと思い作った」と話すのは、公演に出演した文芸同兵庫文学部長の沈達也さん（34）。「（同胞社会における）これからの柱は民族教育。この兵庫で学校をしっかり守っていくことが大切だ」。

　また、神戸朝高教員の楊琴女さん（28）は、「これからの同胞社会を築いていく形や姿は、震災当時の同胞らの活動にすべて集約されていると思う。朝・日関係の悪化や歳月の流れとともに当時の事を忘れがちだが、しっかり思い起こして次につなげることが大切だ」と語った。（金明�c記者）

［朝鮮新報 2005.1.18］