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「ブーム」から歴史認識を

 「『キム』って名前は多いんですか? 韓国語も話せるんですか?」。携帯電話の機種変更の手続きの際、若い店員が聞いてきた。「『ペ(ヨンジュン)』よりも圧倒的に多いし、(韓国語)話せますよ」と返すと「かっこいいですね」と関心を示した。質問に答えたものの、どこか腑に落ちない。

 日本では「韓流ブーム」現象がとどまるところを知らない。その流れからか、最近「在日」と関連したものを多く見かけるようになった。2000年に直木賞を受賞した「GO」やビートたけし主演で映画化され話題となった「血と骨」、最近では井筒和幸監督の「パッチギ」も。

 そして2月9日、埼玉スタジアムでのW杯アジア最終予選で朝鮮代表として出場した在日朝鮮人Jリーガーの安英学選手(名古屋グランパスエイト)と李漢宰選手(サンフレッチェ広島)の登場。2人がさまざまなメディアに登場し、発言したことから、「在日」に対する関心も以前より高まった。

 安選手のオフィシャルウェブサイトの応援掲示板には2月9日の試合後、「とてもかっこいい。ファンになった」「日朝戦で初めて存在を知った」「日本と北朝鮮がドイツに行けることを願っている」など、数多くのメッセージが書き込まれていた。

 話は変わって、先日取材したNPO法人コリアンネットあいちが運営するハングル講座の受講生は、今の約25人から倍に増えるという。受講生の中には日本人だけでなく「在日」を隠して生きてきた人たちもいる。

 講師は、「これを機に隣国の歴史や文化をしっかり知ってもらえるようになれば」と話す。同感だ。北南朝鮮、「在日」への関心が「ブーム」や「かっこいい」で終わっては意味がない。今年は祖国解放60周年。朝・日両国間の歴史を知り、見つめ直す機会へと一歩近づかなければ。(c)

[朝鮮新報 2005.3.15]